2023年3月16日

桜の季節に考える「次世代に伝えるべきこと」―国歌『君が代』の意味を元に戻す

一昨日、東京で桜の開花宣言がありました。2023年は、20年、21年と並ぶ観測史上もっとも早い開花ということです。

かつて関東の桜といえば、入学式のころに満開を迎える花でした。桜の下を歩くのは、体より大きなランドセルを背負った小学生や、サイズの大きい制服を着た中高生。まさに日本の風物詩だったといえるでしょう。

ところがいま、桜は卒業式のころにも咲く花になりつつあります。記録によれば、1980年代と2010年代では平均して1週間程度も桜の開花が早まっています。史上最早記録が続いていることから、2020年代にはさらに早くなるでしょう。

平均気温が上がっていることがその原因であり、地球温暖化による気候変動が影響していることは言うまでもありません。

こんなにも生きにくい環境をつくってしまった私たち大人は、次世代を担う子どもたちに何を伝えればいいのでしょう。卒業や入学を迎える桜の季節に、あらためて考えさせられるような気がします。

桜を愛でる文化で受け継がれた命のリレー

日本の国花である桜。その可憐で儚い美しさは、世代を問わず日本人の誇りです。文学史上さまざまな文献に登場する桜にまつわる記述は、日本人が古くから桜を愛でる文化を受け継いできたことを物語っています。

桜の花見に関する記述は、平安時代がもっとも古いもののようです。この時代に記載されている「花」という言葉が「桜」を意味していることはよく知られていますが、実はこれ以前の奈良時代にも「梅」の花見が行われていたそうです。

梅は遣唐使によって中国から伝わった種ですが、桜は日本の在来種です。平安時代に入ると、桜の花見が貴族の習慣から武士階級へと広がっていきました。この桜の美しさへの気づきがいまもなお受け継がれていることは、日本人の桜に対する想い入れの深さを象徴しています。

久方の ひかりのどけき 春の日に
しづ心なく 花のちるらむ

平安時代に編纂された古今和歌集にある紀友則(きの とものり)のこの句は、まさに日本人が心を寄せる桜への想いを表現するものです。

「春ののどかな光の中で、散りゆく桜の花びらなぜそんなにも散り急ぐのか」

限りある桜の生命を儚む和歌ではありますが、この「久方の」とは「永遠の」という意味をもっています。

儚くも散りゆく桜は次の年にもまた花を咲かせます。人も同じく、一人ひとりは短い人生であったとしても、その命は受け継がれていくもの。だからこそ、同じ時代を生きる者同士で協力しながら、知恵を絞って良い未来を築いていけるはず――。

私たち大人が子どもたちにできるのは、和を尊び、命を慈しんできた日本人の想いを伝えることではないでしょうか。

卒業や入学の節目に絵本『ちよにやちよに』で伝える日本人の想い

文屋より発売中の『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』は、桜色の背景に花びらを描いた表紙が目を引く美しい絵本です。表紙や挿し絵は、日本画家である吉澤みかさんによって描かれ、装丁には和柄がほどこされています。

この絵本は、博多の歴女である白駒妃登美(しらこま ひとみ)さんが、先人たちから伝わる真心を多くの人に届けたいと考えて制作しました。

「久方の」の句が大好きという白駒妃登美さんは、同じ古今和歌集にある和歌の本来の意味を知り、そのことをすべての日本人に知ってほしいという想いをこの絵本に込めています。

わが君は 千代に八千代に さざれ石の
巌(いわお)となりて こけのむすまで

日本人であれば誰もが知る国歌『君が代』の歌詞は、平安時代に詠まれた和歌でした。ただひとり、愛する人の長寿と幸せを願って詠まれたラブレターだったのです。

「わが君が」は後に「君が代は」と手を加えられ、後世にこの歌は国歌の歌詞となりました。そして複雑な歴史の流れの中で賛否の絶えない歌となってしまったことは、日本人にとって悲しい現実です。

『君が代』の意味を元に戻し、私たち日本人が国歌『君が代』を、誇りをもって歌うことができれば、本当の意味での平和と幸せを世界に発信できます。受け継いできた命を未来につなげることができるのではないでしょうか。

きみがよは いのちの歌
みずも 森も 石も 苔も
この地球に あるもの すべてが ずっと つながってきた いのち
すべての いのちが ず~っと つづきますように

絵本を開き、いま私たちにできること、大切にすべきことは何かを、子どもたちと一緒に考えてみませんか。

卒業や入学の節目を迎える子どもたちへのプレゼントに、ぜひ絵本『ちよにやちよに』をお選びください。

100年後の未来にも、桜を愛でる季節がやってきますように。

絵本『ちよにやちよに~愛のうたきみがよの旅』は下記からご購入いただけます。

【愛蔵版(ハードカバー)のご購入はこちらから】
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(※普及版は、別途10冊、100冊セットもございます。)
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【『ちよにやちよに』寄付本プロジェクト】
https://e-denen.net/kifubon-chiyoni/



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