2021年8月5日

国蝶オオムラサキが導く国歌『君が代(きみがよ)』1000年の旅――絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』

夏休みが始まりました。

子どもたちには嬉しい夏休み。でも親にとっては子どもの相手をする時間が長くなり、なかなか悩ましい日々かもしれません。 

小学生の息子がいるわが家でも、朝早くから公園に昆虫さがしと、ちょっとハードな毎日です。でも、子どもと一緒に昆虫を追いかけまわしていると、思わぬ発見もあります。

たとえば蝶というと、モンシロチョウにアゲハチョウ、せいぜいクロアゲハくらいしか私に思い浮かびません。でも公園では、アオスジアゲハという蝶を見つけました。

黒地に青い模様が美しいアゲハ蝶で、都市部などにも生息しているようです。こんなに綺麗な色の蝶が身近に見られるとは、驚きました。

でもやはり、蝶のなかでも別格なのはオオムラサキでしょう。その堂々としたたたずまいと気品のある美しさから、1957年に日本昆虫学会より、「国蝶」に選定されました。

文屋が7月に出版した絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』では、ストーリーのガイド役として、この日本を代表する国蝶オオムラサキがたびたび登場します。

『君が代(きみがよ)』は、日本人であれば誰もが知る国歌です。でもその歌詞が、1100年以上前の平安時代に詠(よ)まれた和歌であることは、あまり知られていません。

男女が自由に会うことが許されなかった平安時代、和歌は相手への想いを伝える唯一の手段でした。

国歌『君が代』の本歌である和歌は、名もなきある人物が、愛する人の健やかな日々がずっとつづくことを願った愛のうたです。

この愛のうたが永く歌い継がれて、日本の国歌となったのです。

作者である白駒妃登美(しらこまひとみ)さんは、絵本のあとがきでこんなふうに話しています。

もしかしたら『君が代』は、先人たちから今を生きる私たちに、そして同じ地球に暮らす、あらゆる命に向けられた、時空を超えたラブレターなのかもしれません。

博多の歴女・白駒妃登美さんはこの絵本をとおして、私たちが知る国歌『君が代』の世界を大きく広げてくれます。

そんな「きみがよの旅」を導いてくれるのが、国蝶オオムラサキです。

オオムラサキは、羽を広げると10㎝以上にもなる大柄な部類で、鮮やかな羽に美しい紫の模様の蝶。華麗でありながら、餌場を守るためにスズメバチやカブトムシでさえ、大きな羽をばたつかせて追い払うほど勇ましい蝶です。

でもじつは、オオムラサキの幼虫は、とても愛らしいのです。

この美しく勇ましいオオムラサキが、日本画家・吉澤みかさんが描く絵本の挿し絵のあちこちで羽ばたいています。まるで、1000年の時空を超える旅を、一緒にしているかのようです。

そしてこの旅は、最後に私たちの未来へとつながっていきます。

わたしたちの歌声が
世界中に ひびき わたりますように
1000年先の 平和な 未来に とどきますように


平安時代からいまをへて、未来へとつづく「きみがよの旅」とは、いったいどのようなものでしょうか。

絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』は、子どもも楽しめる大人向けの絵本です。

今年はとくに、国歌『君が代』を聞く機会が多い夏。そして夏休みには、読書感想文などの宿題が出る学校も多いかと思います。

子どもと一緒にこの絵本を読み、親子でいろいろな話をして読書感想文にしてみるのもよいのではないでしょうか。

また絵本の巻末には、朗読動画をご案内するQRコードがついています。

日本語、そして日本語と英語と交互の2種類の読み語りです。挿し絵の画像が音楽とともに流れる動画と、音声データを視聴することができます。ぜひご活用ください。

長い夏休みですから、昆虫さがしや読書など、子どもたちと一緒に楽しめるといいですね。

絵本の原画より、5種類のポストカードを制作しました。夏のお便りにもおすすめですので、ぜひご覧ください。

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