2021年5月27日
わがきみは
ちよにやちよに
さざれいしの
いは(わ)ほ(お)となりて
こけのむすまで
いまから1200年以上前につくられたといわれる和歌です。
「わが君」は、「私の愛する人」。この歌は平安時代に、ある名もなき人物が心から愛する相手へ、「いつまでも長く生き続けてほしい」と詠(よ)んだラブソングです。
世界一古い歌詞によって、世界一短い国歌『君が代(きみがよ)』となった和歌。日本人であればだれもが知る歌に、皆さまはどのような想いをおもちでしょうか。
いま、この歌をより深いこころで味わってほしい。
その想い込めて、文屋は絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』を7月に出版いたします。
作者は、文筆家であり講演家である白駒妃登美(しらこまひとみ)さん。「日本人に生まれたことに誇りを持てるような歴史のエピソードを伝えることが、 私の使命」と語る、博多の歴女です。
多数の著書や全国各地での講演をとおし、歴史上の人物の生き方を、多くの人々の学びにかえてきました。
そんな白駒妃登美さんが、『君が代』の本歌である歌のこころを伝えたい、という気持ちからつくったのがこの絵本です。和を尊び、命を慈しむ、長く受け継がれてきた日本のこころを伝えるものです。
「いっしょにいる 時も はなれている 時も
たいせつな あなたには いつも 笑顔で しあわせで いてほしい」
「…たくさんの 人が 口ずさむうちに ちいさな 愛の歌は みんなの歌に なっていった」
絵本のあとがきで、白駒妃登美さんはこの歌のことを「先人たちから今を生きる私たちに、そして同じ地球に暮らす家族に向けられた、時空を超えたラブレター」と語っています。
この歌は、平安時代前期に編纂(へんさん)された『古今和歌集』におさめられていました。日本で最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』のなかには、百人一首など現在も親しまれる和歌も多く含まれています。
その後、この歌は祝いの席などで好んで謳われるようになりました。そして、『古今和歌集』成立の約100年後に編纂された『和漢朗詠集』にも登場します。
「朗詠」とは、楽器の伴奏に合わせて名句を吟唱すること。『和漢朗詠集』は、朗詠が盛んに行われることによってつくられた詩文集、いわば人気のソングブックです。
それにしても、いつの時代もラブソングというのは世代を超えて人の心に響くものですね。
淡い初恋からはじまり、心を通わせる相手への想いにあふれ、歳を重ねることで家族への愛に満ちていく。豊かな人生とは、人を愛おしく想う心に宿るような気がします。
だからこそ、この歌は時代を超えて受け継がれてきたのです。大らかで和やかな人類愛、地球愛、宇宙愛を込めた、究極のラブソングです。
『和漢朗詠集』に登場するとき、「わが君は」は、「君が代は」と手を加えられました。そして長い歴史のなかで、国歌となり歌い継がれてきたのです。
その『君が代』の旅を、白駒妃登美さんは絵本本編とあとがきをとおして、読み手に優しく伝えてくれています。
国文学者の 中西進先生も、絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』に応援メッセージを寄せてくれています。
中西進先生は、91歳のいまも現役で活動する『万葉集』研究の第一人者。『万葉集』は奈良時代末期につくられた現存する最古の歌集であり、元号「令和」の出典となった梅花の歌がおさめられています。
「令和」の名付け親であるといわれている中西進先生。「万葉集の中に息づく平和への祈りを実現するのが、『令和』の時代の役割」と語っています。
その中西先生が、「万葉集からの伝統を継ぐまさに真珠のごとき愛の歌」と評する「君が代」のこころ。令和のいま、ぜひ絵本をとおして親子で味わってみてください。
子どもたちは幼稚園や学校で、はじめて国歌「君が代」を覚えます。ご入園・ご入学祝いにも、おすすめの一冊です。
文屋ではいま、絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』を、福島県内の小学校と公共図書館、全国の児童養護施設、そして小児医療の病院に贈る寄付本プロジェクトを展開中です。
みなさまのご支援をお待ちしております。
↓
https://e-denen.net/kifubon-chiyoni/