2023年3月9日
いよいよ2023 WBC(World Baseball Classic)が開幕します。
今回の注目はなんといっても、WBC史上初めて海外出身で日本代表となったラーズ・ヌートバー選手でしょう。
アメリカ人の父と日本人の母を持つヌートバー選手は、2021年にアメリカ大リーグ入りした25歳。メジャー2年目ながら、すでに主力メンバーとして活躍しています。
日本語はあまりしゃべれないながらも、「母が家で日本の国歌を歌うので、復唱するような小さな練習をしている」と語るヌートバー選手。
国歌斉唱で、どのような歌声を聴かせてくれるのでしょうか。
ヌートバー選手が侍ジャパン入りのオファーを快諾した背景には、母の母国であること以外にも、日本の高校野球選手と交流した思い出があるようです。
高校野球ファンでなくとも記憶に残る2006年夏の甲子園では、早稲田実業の斎藤佑樹選手と駒大苫小牧の田中将大選手の死闘が話題となりました。ヌートバー家は、その年の日米親善試合でこの二人を含む日本代表の球児たちが渡米した際、滞在したホストファミリーのひとつです。
幼いころから野球に親しんでいたヌートバー少年が、日本のトップクラスの高校野球選手たちと交流した経験は、日本の野球に憧れを抱く大きなきっかけになったことでしょう。
本人はもちろん、家族みんなが大喜びという今回の抜擢。アメリカ人ではあるものの、2023 WBCでは「チームジャパン」として活躍して優勝してほしいと、家族も暖かく見守っています。
アメリカ国籍のヌートバー選手は、「両親のうちどちらかが日本人である」というWBCの選手資格に合致したことから、今回の話が進みました。期待される一方で、やはり外国人選手であることを否定的にとらえる声もあがっています。
ここであらためて考えさせられるのが、「日本人」の定義とは一体何なのかということ。多様な生き方や価値観が交錯する現代社会において、永い歴史をもつ日本のルーツ、そのあり方を理解して誇りを持っている日本人はどれほどいるのでしょうか。
「日本とは何か」「日本人らしさとは」といったことは、あえて意識する機会があるからこそ問われるものであるように思えます。
アメリカで育ったヌートバー選手にとって、母の母国であり自身の野球の原点となった日本という国は、おそらく多くの日本人以上に、日本人としてのルーツを誇るきっかけになっているのかもしれません。
日系二世であるヌートバー選手がチームジャパンとしてWBCに参戦することは、客観的な「日本人」の資格を問うこと以上に大切なことを、私たちに伝えてくれているような気がします。
『君が代』が国歌として世に知られるようになったきっかけもまた、外国との交流にあったことをご存知でしょうか。
『君が代』の歌詞は、最初から国歌とするためにつくられたものではありません。そのルーツは1100年以上も前の平安時代に遡るもので、いまでは名前も残っていないある人物が愛する人に向けて詠んだ和歌でした。
それから1000年以上の永きにわたり、日々のお祝いの席で健康や長寿、一族の繁栄を祝う歌として歌われてきたのです。
天皇に捧げる歌として解釈されるようになったのは明治以降のことであり、そのきっかけとなったのは明治2年の英国王子の来日でした。
海外からのお客様を迎えることで国際儀礼として両国の国歌を演奏することになったとき、古くから日本人に愛されていた『君が代』に白羽の矢が立ったのです。
このとき『君が代』の歌詞に曲をつけたのは、なんと英国人でした。のちに「やはり日本独特の雅楽にしたい」という声が上がり、いまの『君が代』となります。
古来、愛され続けた和歌は、外国との交流によって日本を代表する国歌としての価値を見出され、またいまある形になるまでにも外国人とのかかわりがあったということです。
文屋より出版中の『ちよにやちよに〜愛のうた きみがよの旅』は、英訳もついたバイリンガル絵本です。日本人の心を歌う「きみがよ」が、世界中に通じる愛と平和のメッセージであることを伝えています。
幼いころから日系人として誇りを持ち、今回の侍ジャパン入りを「控え目に言っても、とても名誉あること」と話しているヌートバー選手にも、ぜひよんでいただきたい一冊です。
ヌートバー選手が歌う『君が代』は、きっとさまざまな人の心に響きわたり、「みんな」の歌になることでしょう。
そのことを期待しながら、侍ジャパンの活躍を心から応援したいと思います。
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