2023年2月9日

「建国記念の日」を前に考える―国歌『君が代』が伝える日本人の心

卒業、入学祝いのプレゼントには、文屋の絵本『ちよにやちよに~愛のうたきみがよの旅』がおすすめです。このブログでは、著者の白駒妃登美さんや国歌『君が代』をはじめ、絵本『ちよにやちよに』にまつわるテーマに沿ったコラムをお届けします。

今週末2月11日(土)は、建国記念の日です。

「建国記念の日」の由来は、日本書紀で初代天皇とされる神武天皇の即位日にあり、旧暦では元日であったその日が新暦では2月11日であることから、この日に制定されました。

紀元前660年に建国されたと考えられていることは、日本が世界最古の国といわれる理由でもあります。

でも、これはあくまで日本神話であり、本当の起源は定かではありません。そのため「建国記念日」ではなく、建国を祝う日、つまり「建国記念の日」と定められています。

日本の歴史を紐解き、いまを生きる私たちにさまざまな学びを与えてくれる博多の歴女・白駒妃登美さんは、このことについてブログで興味深いお話をされています。

「曖昧さ」という受容力

神武天皇は、「おそらく実在していたであろう、最古の天皇」と言われていますが、この方は、天孫降臨のニニギノミコトのひ孫にあたられます。つまり神話と歴史が一本の糸で結ばれている、そんな世界でも稀(まれ)な民族が私たち日本人なのです。「おそらく実在していたであろう」ということは、逆の視点から見れば、神武天皇が実在していたという確証はない、ということになります。つまり日本人は曖昧さを2675年も貫いてきた!ということです。(白駒妃登美公式ブログ2015年2月10日より)

幼いころは、白黒はっきりつけない日本社会が嫌でたまらなかったという白駒妃登美さん。大人になってからの海外経験で曖昧さを許さない社会を知ると、「曖昧さ」こそ受容力だったと気づきます。

そして日本の文化や歴史をますます好きになったそうです。

何かと揶揄されることが多い「曖昧さ」ですが、それこそが愛おしいという白駒妃登美さんの語りは、私たち日本人が誇るべきことを再考させてくれるように思えます。

すぐに答えを出さないことの価値

私たちは学校教育で、あたえられた問題を早く正確に解くことが求められてきました。またビジネスの世界でも、スピード感と決断力のある人が優秀なリーダーになるということが通説でした。

ところが世の中は確実に変化しています。新型コロナ問題では、「正解」は刻一刻と変わり、長期的に見れば何が答えであるのかいまだに定かではありません。答えどころか、問題の根源がどこにあるかすら明確ではない、不確実な世界を生きています。

目まぐるしい環境の変化、多様な価値観が交錯するビジネスの世界でも、すぐに答えを出すことが必ずしも成功につながらなくなりました。対話を通して現場や顧客に「問題化」を促し、時間をかけて価値を共創する必要性が叫ばれています。

スピード感より忍耐力、決断力より思考力をもつことが、より求められる世界へと変わりつつあるのです。

受け継がれてきた日本人の心を、未来の力へつなぐ

白駒妃登美さんが誇る「曖昧さ」は、明確な起源より歴史と神話の結びつきを尊ぶ日本人の寛容さを象徴しています。

未来の不確実性が増す時代に、状況を見極めながら長期的に問い続けることができる日本人の力を、私たちはもう一度見直すべきではないでしょうか。

何より日本の国歌『君が代』は永い時間の流れを歌い、また悠久の時を経て受け継がれた歌なのです。

たとえば ちいさな 石が 永い 時間を かけて
おおきな 岩と なって
そのうえに たくさんの苔が はえるまで ずっと ずっと・・・

絵本『ちよにやちよに』のなかで『君が代』は、神話の時代から2000年以上つづく「ひのもとのくに」日本でつくられた、まごころをつなぐ歌と綴られます。

天皇の讃美歌ではなく、ただひとり、愛する人の長寿と幸せを願って詠(よ)まれ、1100年以上も歌い継がれてきた歌が、日本を象徴する国歌であるということ。それは日本人が長く続く幸せにこそ価値があることを、ずっと信じてきた証しです。

きみがよは 長寿と しあわせを 祈る歌
たいせつなひとを おもいながら うたうと
笑顔の輪が ひろがるよ

絵本『ちよにやちよに』が伝える日本人の心を、持続可能な未来へと繋げていきませんか。

この絵本を通して多くの子どもたちに、「きみがよ」の心が届くことを願っております。

絵本『ちよにやちよに~愛のうたきみがよの旅』は下記からご購入いただけます。

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