2023年1月19日
文屋はいま、オンラインセミナー【高野登さんと学ぶ「わたしの人生を変えたホスピタリティライフのすすめ」】を配信中。このブログでは、講座の内容を抜粋して編集したコラムをお届けします。
昨年末(2022年)に発表された「今年の漢字」は「戦」。この字は米国同時多発テロが起こった2001年にも選ばれた漢字ですが、昨年はやはりロシアのウクライナ侵攻が世相に反映されたのでしょう。
人々の生活を脅かし、尊い命を奪う戦争の悲惨さは、これまでの歴史が嫌というほど証明してきました。それでもなお資源を奪い合い、他人を排除しようとしてしまうのは、人間の悲しい性なのでしょうか。
その一方で、平和を重んじ、他人を思いやることの大切さを理解しているのも、また人間です。人々が築いたこのような共生の文化もまた、歴史のなかに見出すことができます。
日本の歴史のなかでも、江戸期は長く平和と経済の繁栄が続いた時代です。江戸時代を生きた商人のリーダーたちは、人がより良く生きるためのあり方を定めていました。
のちに「江戸しぐさ」と称されるようになったこの生き方のルールは、いまを生きる私たちにもたくさんのヒントを与えてくれます。
たとえば「傘かしげ」という江戸しぐさは、傘をさして人とすれ違うときにそっと傘を外側に傾けるということ。相手の体に雨や雪がかからないように、またぶつかって傘を壊さないようにという意味もあったそうです。
また「時泥棒」は、相手の貴重な時間を奪ってはいけないという「江戸しぐさ」の教えです。たとえば断りなく相手を訪問したり、約束の時間に遅れるということはあってはならないことです。
江戸時代は、260余年も継続しました。その理由はさまざまにとらえられていますが、自分だけでなく他人の人生も大切にするというこの共生の哲学も大きく貢献したのではないでしょうか。
支配層の武士ではなく商人たちがつくったこうしたルールは、この時代の経済におけるマーケティングの本質でもありました。社会生活をどのように過ごすかという生き方のルールが、自分たちを取り巻く市場をどう築いていくかにもつながっていきます。
商人たちは、たとえライバル同士であったとしても、「相手を蹴落として自分だけが儲けよう」という考え方をしませんでした。「共倒れにならないために何が必要か」と考えて創意工夫し、市場をつくっていったのです。
奪い合いによって得た一次的な利益は、長期継続しません。でも互いに助け合って市場をつくっていけば、社会そのものが発展し、継続的な利益をもたらします。現代人がなくしつつあるこの「お互いさま」の心こそ、SDGs(持続可能な開発のための目標)時代に求められるマーケティングの感性を磨くものではないでしょうか。
顧客を奪い合う価格競争と、協調による需要開拓。市場の拡大と長期的な利益につながっていくのは、間違いなく後者です。「お互いさま」の心で仕事に取り組むことが、長い目で見れば全体の利益を拡大し、事業の継続を導くことになります。
260年も続いた江戸時代――いまより寿命の短かったこの時代に何世代も受け継がれた共生の哲学は、いまの私たちにも持続可能な成長のあり方を教えてくれています。
SGDsは単なる綺麗ごとではなく、誰にとっても差し迫った問題です。あなたは競争を選びますか。それとも、共創の道を模索しますか。
このセミナーの講師、「人とホスピタリティ研究所」の高野登さんは、ザ・リッツ・カールトン・ホテルの元日本支社長。同ホテルで学んだ「おもてなし」の心、これをブランド化した「ホスピタリティ」の感性を軸に、みなさまの人生やビジネスの新設計を伴走します。
オンライン講座は、1回60分前後の講義を、映像と音声で月2回(全12回)、学習期間 6か月間で学びます。この期間に、あなたの言葉、思考、そして行動は、驚くほど洗練されていきます。みなさまのご参加を、ぜひお待ちしております。
【末広がりの年輪経営プロジェクト】
ビジネス・オンラインスクール 高野登さんと学ぶ「わたしの人生を変えたホスピタリティライフのすすめ」
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「江戸しぐさ」が示す利他のあり方は、日本人が古来もつ和を尊び、命を慈しむ心と通じています。文屋は2021年夏に出版した絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』をとおして、この心を多くの子どもたちに届けるプロジェクトを展開中です。
絵本『ちよにやちよに』寄付本プロジェクト
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https://e-denen.net/kifubon-chiyoni/