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2020年05月03日

Vol.785 塚越寛さんにコロナの災禍と経営をたずねる。

みなさん、こんにちは。お元気ですか? きょうの信州小布施は薄曇りですが、 きのうにつづいて気温は30度を超えそうです。 文屋のお庭では、 濃いピンクのサツキの花が満開で、 ヤマボウシの新芽が伸び始めています。 みなさん、 いつもこのメールマガジンをお受け取りいただき、 ありがとうございます。 ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ 信州小布施 美日常の文屋だより vol.785 和合と感謝 百年本を世界の未来へ。 ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ 【きょうのテーマ】 塚越寛さんに コロナの災禍と経営をたずねる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ **********************  ★人にとってノルマは快適なものじゃない。    ノルマは社員を幸せにしません。          だから上場はしません。★ ********************** かんてんぱぱ・伊那食品工業の最高顧問 塚越寛さんの講演記録 「音声ダウンロード 「2019年1月20日塚越寛氏“奇跡”の講演会」」を お求めくださった、 東京のKYさんからお便りをいただきました。 「1ヶ月間、経営の考えを整理していたところ、 以前読んだ年輪経営に再び感動、 御社主催の公演も聞かせて頂き、 ここに全ての基本があると感じました。 現在、東京ですが、 これから退職して地元(木下注:北陸の県)の 小規模製造業を引き継ぐ予定です。 塚越様の人と心に軸を置いた経営を指針に 精進したいと強く思っております。 今後ともご指導のほどよろしくお願いします。」 KYさん、ありがとうございます。 塚越寛さんの末広がりの年輪経営を引き続き学ばれ、 御社で実践され、実証していかれることを願います。 コロナの災禍の渦中にあって、 多くの働く人たちが、 ご自身の過去を振り返り、 いまを見つめ、 未来を思い描いていることと思います。 今回の災禍は、 小手先の処方で乗り越えることはできません。 対症療法ではなく、 根治療法が必要です。 根治とは、 ありかた、考え方、生き方のこと。 What/How to doではなく、 How to beの領域です。 60年以上前から、 「いい会社をつくりましょう ~たくましく、そしてやさしく」の社是を掲げ、 社員の成長と幸福、 その集合体としての会社の成長、 それを通じた社会への貢献を願い、実践してきた 塚越寛さんと同社に学びたいという気運は、 これから、全国・世界規模で、 高まっていくことでしょう。 そんなおり、4月27日夕方、 NHK長野放送局は「極め人」というシリーズ企画で、 塚越寛さんへの数分間のインタビューを収録、 放送しました。 まさに時宜を得た企画に、感謝です! (NHKさん、ありがとうございます) そこで語られていた 塚越さんのいくつかのメッセージを、 ご紹介しますね。 表現は一部、塚越さんの意をくんで、 わたしの編集が加わっていることを、 ご承知ください。 **************** 東京ドーム2個分の広さがある 本社のかんてんぱぱガーデンの自慢は、 赤松などの樹木の根元に広がる 緑の絨毯(じゅうたん)です。 これは芝生ではなく、苔(こけ)です。 苔は、毎日、落ち葉などを取り除き、 水分を与えて、手入れをしていないと ここまで育ちません。 職場が美しい緑に囲まれていることで、 ここで働く社員がみんな、 気持ちが和らいで、優しくなっているように思います。 **************** わたしは地元の進学校に進みましたが、 生家は貧しく、栄養状態が悪かったせいで、 当時は「死の病」と恐れられた肺結核にかかり、 高校を中退しました。 21歳の時に「社長代行」の立場で入社した 現在の伊那食品工業も、 たいへん貧乏な会社でした。 社員とは、 「これ以上下がりっこないね。 これからは良くなる一方だから楽しいね」と語り合い、 励まし合って、少しずつ良くしていきました。 **************** 死と隣り合わせの闘病生活の日々、 これ以上の不幸はないと感じていました。 生きること、この人生は一度きりです。 一番大切なのは、 健康に恵まれて、幸せであることです。 自分の幸せと共に、 相手の幸せを一番に考えることを、 自分にも社員にも言い聞かせてやってきました。 **************** 株式上場はしません。 いまの株式市場は、 株主の短期的利益の最大化がモットーです。 経営者は、 年度初めに売上高と利益の目標を明示することを 市場から求められます。 四半期ごとの決算も義務づけられています。 こうした近視眼的な目標設定は、 社員に対するノルマの設定と押しつけに つながります。 人にとってノルマは快適なものじゃない。 ノルマは社員を幸せにしません。 だから上場はしません。 **********************  ★成果主義・能力主義は        ほんとうに効率的なのか?★ ********************** 塚越さんは、問いかけに語り続けます。 **************** 経営者の一番の役割は、 社員のやる気、幸福感、 モチベーションを高めてあげることです。 モチベーションの高い事業や経営は、 必ず成功できます。 では、どうやったらできるのか? まず、リストラはしません。 そして年功序列制を保っています。 成果主義・能力主義の観点から、 年功序列制は効率も悪く、 賛同しない風潮が経営界にありますね。 しかし、 年功序列制こそ、 結果的に最も「効率的」なのだと思います。 いわゆる「2:6:2の法則」があります。 働きの良くない2割の人を排除しようと 成果主義を採用する会社があります。 わたしは、それには反対です。 2割を排除しても、 残った人たちはまた2:6:2に分かれる、 それだけのことです。 だから、人を排除する経営はうまくいきません。 わたしはむしろ、 現在の2:6:2のままでいいから、 全体のレベルをあげることを考えるべきだと思い、 実践してきました。 会社の真の成長とは、 短期的な売上高や利益ではありません。 それは結果にすぎないのです。 社員一人一人が成長して、 幸福感とやる気に満ちて働いている。 成長を続ける社員の総和が会社の成長であり、 売上高や利益は結果としてもたらされるものです。 効率至上の成果主義・能力主義は、 社員のモチベーションを下げ、 結果として極めて非効率的な経営になります。 **************** そして終盤、 聞き手は、コロナの災禍で先行きが見えない中、 景気と経営について、問いかけました。 **************** 年功序列制は社員に安心感をもたらします。 夢や希望というものは、 末広がりにだんだん良くなる安心感の中にこそ、 もつことができるのです。 景気に大きく左右されずに、 いつでもわずかでいいから、 右肩上がりになる経営をしてきたいものです。 **************** 経営の資源を一つに絞ることなく、 いろんな社会情勢を想定して、 何本もの幹を伸ばして育てておきたいものです。 効率だけを考えると、 一本の幹に集中したほうがいい。 しかし、 一本だけに集中する経営が、 いかにリスクが高いのかは、 今回、みんなが実感しているはずです。 ふだんから、 社会情勢を見極めて、 多様化、多角化して、 いくつもの枝を太く育てていくことです。 効率経営は、リスクが高いのです。 効率、効率と言いながら、 なんでそんなに急ぐのですかと言いたい。 人生は有限ですが、 会社は無限、永続してこそ価値があるのです。 ずっと永続させるのだから、 急ぐことはないのです。 **************** 塚越さんは、同じ時期の「日経ビジネス」の取材に、 こうも答えていらしゃいます。 「手元資金を十分置いてゆっくり成長するから 危機に強い。 売り上げが半分になっても社員を 2~3年雇用するくらいの力はあると思う。 それだけではなく多岐にわたって 危機に備えています。 本社と各営業所には衛星電話を置いているし、 もっと言えば農業にも取り組んでいる。 他方、四半期ごとの決算を重視する効率経営は 急成長が目的になっていて、 いざというときの備えを十分にできない。 だから突然の危機に弱いのです。」 **************** NHKのインタビューの最後に塚越さんは 色紙にマジックで、 「忘己(もうこ)利他」と書いて、 こう結ばれました。 **************** 「忘己利他」は、 天台宗の開祖・最澄のお教えだと伺っています。 人生の究極の目的は、幸せの追求です。 経営も、人々の営みである以上、 目的は幸せです。 自分の幸せは大切です。 同時に、 自分以外の人たちの幸せを思いやって、 感謝しながら、働くことです。 「忘己利他」はちょっと難しい言葉ですが、 わたしはその真の意味を、 こうかみくだいて、社員に伝えています。 「この意味はね・・・ 「ありがとう」言われるように、言うように ということだよ、と。 **************** 塚越寛さん、すてきなメッセージを、 ありがとうございます。 感謝の思いを込めて、 感謝の思いを行動に移して、 相手に感謝され、相手にも感謝する。 そんな気持ちで日々を生き、働いていきたいと あらためて感じております。 ・・・やはり、というべきか、とうぜんというべきか、 塚越さんのお答えからは、 即効性のある、特効薬のような、 対症療法的なご助言は、一つもありませんでした。 多少なりとも期待していた自分を、 恥じております。 幸せ、モチベーション、年功序列制、 永続こそ価値、 必ず来る危機を想定する、経営資源の多様化・多角化・・・ 根治療法のオンパレードです。 では、 あなたは、ご自分の考え方と生き方と働きを、 これからどうやって変革していきますか? **************** みなさん、 「場」を磨いて、be(あり方)を高めていきませんか? 文屋が主宰する 「末広がりの年輪経営プロジェクト」では今後、 「場」を磨いて、be(あり方)を高めることを たいせつなテーマとして、 オンラインセミナーとリアルセミナーを融合させた 「年輪経営伊那セミナー」 「年輪経営小布施セミナー」などを、 開催して参ります。お楽しみに! ではみなさん、お健やかに、 佳き春の日々を楽しみましょう。 どうぞよろしくお願いいたします。 文屋 木下 豊より 【写真説明】http://www.e-denen.net/index.php/mailmag? NHK長野放送局のインタビューに答える 塚越寛さん(「イブニング信州」の画面を撮影) ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ このメールマガジン(美日常の文屋だより)は、 百年本の文屋代表、小布施人、農士、 「美日常」提唱者として、 ものごとの原点(本来あるべき姿)を 考えつづける筆者が、 日々、交流の場を綾なしながら、 みなさまの人生とビジネスのお役に立つこと を目的に、お届けしております。 ★文屋・木下豊について http://www.e-denen.net/index.php/about_rinen http://www.e-denen.net/index.php/about_kino ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ★プレム・ラワットさんの「心の平和」のメッセージを、 これから100年の未来を生きる、 無限の可能性を秘めた子どもたちに贈りたい! 寄付本プロジェクトにご一緒しませんか?★ ラワットさんのこのご著書を、 より多くのみなさんにお伝えしていきましょう! 新刊と寄付本プロジェクトの詳細はこちら → http://premrawat.shop-pro.jp/?pid=148653715 ********************* 小布施牧場の しぼりたてジャージー牛乳を使った ジェラートとモッツァレラチーズの工房&カフェ milgreen(ミルグリーン) https://obusedairyfarm.co.jp/milgreen/ ************************ 2019年1月20日に八重洲ブックセンターで開いた かんてんぱぱ・伊那食品工業株式会社会長 塚越寛さんの講演音声データ。 語り手と聞き手の意識が高いレベルで一体になった 「奇跡の講演会」の90分間の全容を、 ぜひお手元で何回も聞いてお役立てください。 http://www.e-denen.net/index.php/movies?_id=42 ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎わたしのこころの師匠・戸村和男先生  富士和教会の公式サイト:http://fujiwa-k.com/ 師匠のお弟子さん・井内由佳さんのご著書 『もっと美しく、もっと幸せに ~リッチに輝いて愛される33の理由』 (廣済堂出版。2018年)より 【第2章 美しく暮らす】 よい油とよい塩を選ぶことは、 美容と健康、アンチエイジングの要(かなめ)。 よくよく吟味して良質なものを使うようにすると、 身体も肌も変わってきます。 ★井内由佳さんの公式サイト:http://yuka-i.com ★井内由佳さんが社長をつとめる 株式会社フィールド オブ ドリームスの公式サイト: 命を受けました。 https://youtu.be/owcmZ4ymmS0 ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎わたしのイチオシ。斉藤一人さんの「覚悟の話」 goo.gl/hJbwWd ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎

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