2022年5月12日
新型コロナウイルス問題が発生してから、季節は3巡目を迎えています。
思い起こせば、コロナ禍が始まった2020年はオリンピックイヤー。その誘致活動のころから、観光立国、インバウンド需要といった言葉を頻繁に耳にするようになりました。
観光を柱とする日本のブランディング戦略が始まった時期、といえるかもしれません。
ブランドとは、他にはない独自の深い魅力を表現するもの。誰もが「日本」と聞いたとき、その魅力を思い浮かべられるようにすることが、日本という国のブランディングです。
ブランディングは、むしろ経営戦略において語られることが多いものです。これを成功させ、大きな強みとしているある企業から、学んでみませんか。
文屋では、「かんてんぱぱ」ブランドで知られる伊那食品工業の最高顧問、塚越寛さんの「年輪経営」を学ぶオンラインセミナーを配信しています。
東京オリンピック・パラリンピックは延期され、昨年さまざまな制約下で開催されました。でも、やはりアピールに欠けていたのは、コロナだけが原因ではないように思えます。
塚越寛さんは、かつてインタビューでこう語りました。
スイスという国は、たとえば放牧をはじめとする農業を非常に大切にしていて、補助金を出しています。お金はかかるものの、放牧することで牛が雑草を食べてきれいにしていますから、それが景観形成につながっているんです。残念ながら、日本にはそういう意識がありませんね。(塚越寛さん)
[2010年1月1日 信濃毎日新聞 掲載]
スイスには、いまの日本にはない真の美しさがあるのでしょう。
スイスの美しい景観に魅せられた塚越さんは、長野県伊那市にある伊那食品工業の本社敷地内に、自然の景観が楽しめる広大な「かんてんぱぱガーデン」をつくりました。
地元の人だけでなく、観光客も頻繁に訪れるこの「かんてんぱぱガーデン」は、まさに伊那食品工業という会社のブランドを象徴しています。
というのも、このブランディングを実践しているのは他でもない社員たちだからです。庭園を毎日自分たちで掃除し、「訪れる人を喜ばせたい」と願う社員たちの心のあり方が、この場に真の美しさを形成しています。
社員たちの心が調い、それが行動に表れているからこそ、「かんてんぱぱガーデン」には人を惹きつける美しさがあるのです。
それは、自然の景観によるものばかりではありません。伊那食品工業には東京営業所がありますが、社員たちは向かいにある公園をいつも掃除しています。
園内の公衆トイレも掃除していたところ、「失業者が出るからやめてほしい」と苦情がきました。もちろん、トイレが汚れていたからこそ掃除をしていたわけですが、その後もある社員はこっそり掃除を続けていたそうです。
賃金の対価として働いている人よりも本質的な、自身の美意識によって行動していることがわかるエピソードです。
どうしたら、こうした社員が育つのでしょう。このセミナーで塚越寛さんの言葉を読み解く「人とホスピタリティ研究所」の高野登さんは、こう語ります。
伊那食品工業では、知識とかスキルではなく、how to be―「どうあるべきか」を日常的に教えています。会社のなかで社員として過ごす時間そのものが、人間としてのあるべき姿を考える時間です。(中略)会社の経営、考え方や、社員一人ひとりが持っている「かんてんぱぱ」伊那食品工業にたいする想いを見ていくと、すべてがブランディング活動そのものじゃないか、と僕には見えるんです。(高野登さん)
「かんてんぱぱ」に代表される伊那食品工業の商品ラインナップは、売れるかどうかではなく「本当に必要とされるもの」を考え抜いてつくられています。経営者も社員も、本来あるべき姿から生まれる美意識を持ち、ものごとの表面ではなく本質を見ています。
経営者としてこの会社を率いてきた塚越寛さんが指摘する、いまの日本に必要な真の美しさ。それは、人目を引く表面的な華美さではなく、日本人が本来持っている美意識のことではないでしょうか。
塚越寛さんは、文屋より発売中の絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』を推薦してくださっています。
この絵本で描かれる「きみがよ」の世界には、経済的価値に偏重することで忘れ去られた、日本人の真の美しさが表現されています。
経営者として、また日本人として考えるべき真のブランディング戦略とは何か。文屋のセミナーや著書をとおして、ぜひご一緒に考えましょう。
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塚越寛さんが「働くすべての人に読んでほしい」と推薦くださる絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』もぜひご覧ください。
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塚越寛さんと絵本『ちよにやちよに』の著者である白駒妃登美(しらこま ひとみ)さんが語り合う、同書の出版記念ビジネスセミナーの映像は、こちらから。
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