2021年12月16日
今年も残すところ、あとわずか。みなさまは、年末年始をどのようにお過ごしになるのでしょうか。
10月ごろから、日本では新型コロナウイルスの感染者数が激減しました。また不思議なくらい、その数は少ないままです。
世界を見渡せば、新変異種「オミクロン株」が広がり、まだまだ先の見えない状況です。その一方で「オミクロン株」は毒性が弱く、「デルタ株」に代わることでコロナが終息するのでは、という声も上がっています。
またインフルエンザの流行期を前に、当初から予防接種のためのインフルエンザワクチン不足が取りざたされています。同時に流行拡大も予測されていたものの、現時点ではインフルエンザ患者の報告数も少ないまま。こちらも、今後の予測は難しそうです。
相変わらず、さまざまな情報に一喜一憂してしまう毎日。こんなときこそ、私たちは原点に返り、自分たちの体のことを知ることが大事なのではないでしょうか。
文屋が今年4月に発売した、絵本『おやすみルーシー~ウイルスがやってきた』は、私たちの体の免疫機能について、親子で考えるきっかけをつくる本です。
物語は、主人公の女の子ルーシーがぶるぶると体を震わせ、ベッドに入るところから始まります。その後ルーシーは、夢の中でウイルスと一緒に自分の体のなかに入ります。
ちなみに絵本ではここで、ウイルスは「トゲトゲのボール」として表されています。新型コロナウイルスが蔓延してから、丸にトゲトゲがついたあのウイルスの写真を、私たちは何度も目にしていますよね。
このトゲトゲは「スパイクタンパク質」といい、ヒトの体の細胞にある鍵穴に入っていきます。こうして、私たちはウイルスに感染するのです。このトゲが太陽の周りにある光冠(corona)のように見えるため、コロナウイルスと名づけられたそうです。
絵本に描かれた絵は、作者の新妻耕太さん、ルーシーさんご夫婦と作画を担当した こまちだ たまお さんが綿密に打ち合わせて創り上げたもの。親しみやすい絵ですが、科学的な正確さにこだわってできあがったものなのです。
絵本ではこのあと、ルーシーと仲間たちが活躍し、ウイルスと闘うストーリーが展開されます。ウイルスが増殖してしまった体の中で、ヒトの免疫細胞がどのようにその力を発揮するのかを、わかりやすく正確な模写によって私たちに教えてくれます。
作者である新妻耕太さんと妻のルーシーさんご夫婦は、スタンフォード大学で活躍する免疫学の研究者。子どもたちに、ウイルスと免疫のことを正しく楽しく学んでほしいと願い、この絵本の制作を決めました。
新妻耕太さんは今年10月27日、テレビ朝日で放送された『25歳~情熱の起点』という番組に出演しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大が始まって、真っ先に大きな生活の変化を強いられたのは、じつは子どもたちなんです。(新妻耕太さん)
「子どもたちにこそ、正しい知識を伝えたい!」そんな想いでつくられた絵本は、児童病院など、日米で2,000か所以上に提供されている。(ナレーター・内藤剛志さん)
短い番組ですが、新妻耕太さんはこの絵本『おやすみルーシー』をとおして子どもたちに伝えたかった想いを、しっかりと語っています。
(番組HPより視聴可能です。)
新型コロナウイルスの流行が始まって、もうすぐ2年。子どもたちがいま経験している我慢や不安は、大人である私たちの想像を超えるものです。
そんな子どもたちの気持ちに寄り添っているからこそ、新妻耕太さんはこう語ります。「ネガティブなことが起っても、知ることによって『面白い』とか、『自分の体ってすごいんだ』って思ってもらいたい」と。
コロナ禍に負けず、科学の楽しさを知り、興味を広げてほしい。絵本『おやすみルーシー』には、そんな子どもたちの未来を想う作者の気持ちが詰まっています。
いま新型コロナの感染者数は落ち着いているものの、私たちが今後いつ元の生活の戻れるのかは、予測できません。ワクチン接種についても、まもなく3回目が始まります。そして、子どもたちのワクチン接種についても議論がされています。
子どもたちも決して、部外者ではないのです。親子で自分たちの体のことを学び、自分たちにできることを考える機会を持つことは大切なことです。
年末年始のお休みに、ぜひご家族で絵本を読みながら、語り合っていただければと思います。
絵本『おやすみルーシー~ウイルスがやってきた』のご購入は、下記からどうぞ。また全国の書店でもお取り寄せいただけます。
文屋:https://www.e-denen.net/cms_book.php?_id=47
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