2025年3月19日
2025年3月も半ばを過ぎ、再び芽吹きの季節がやってきました。日差しが明るくなり、生命の力を感じられる春――生きとし生けるものすべての魂の躍動が感じられます。
生命の力をもっとも強く感じられるこの季節、心の奥底から生きる喜びを感じられる瞬間を多くの人と分かち合う舞台が間もなく開演。文屋が主催する講話と舞の祝祭「火と水の結 光」は5月10日の世界初演に向けて、準備が進んでいます。
今回は座長として作・演出・主演を務める舞踊家 那須シズノさんからのメッセージをお届けします。
那須シズノさんが初めて信州小布施を訪れたのは、ちょうど1年前の2024年3月のこと。
3歳のころから踊りとともに歩んできた人生は70歳を超え、これから何に向かって踊っていくのかを自身に問いかけていました。そしていつしか、あの葛飾北斎が80歳を超えて描いたという天井画を自身の目で見たい、と思うようになります。
美術系の大学出身で若いころから美術への深い関心があったこと、また画家である夫・坂口登(すすむ)さんの影響もありました。
小布施を訪れ、町の東側の雁田山の麓にたたずむ岩松院に北斎の天井画があると聞き、すぐさま駆けつけて本堂にある北斎の天井画「八方睨み鳳凰図」を見学。一通りの説明を受けて他の来館者が本堂を出ると、ふと思い立って横になり天井画を見上げます。
そのとき、奇跡が起こりました。
天井画からまばゆいばかりの光が降りてきて、その鮮やかな色彩に包まれ、自分の身体でないかのような感覚を得ます。そして止めどもなく流れる涙とともに、その場から2時間も動けなくなったのです。
葛飾北斎という人間がただ一点を見つめて描き上げた肉筆画、そこに宿る魂との出会い――その瞬間、那須さんはみずからの舞踊家人生の集大成として何をすべきかを悟りました。
人間が何のために生きているのか、それは光であり、愛であると、北斎の魂は語ります。90歳で神に召された北斎がその前年、生命を賭けて描こうとした光を、愛を踊ってみたい。それが那須さん自身の魂の叫びとなりました。
熱い思いを実現しようとする姿はまるで龍神のごとく、日本が誇る舞台芸術の殿堂、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールへと向かっていきました。
葛飾北斎 天井画 八方睨み鳳凰図 あの感動の瞬間が
私を突き動かしています
自らの舞踊家人生を重ねてきた時をかいまみ 感じ続け 体感した現実の全ては
この作品に挑むためにあった気が いまいたします
無限の光 無条件の愛
いま私は そこにむかっています
私が 最初に見た 葛飾北斎との対話
その衝撃の瞬間 その感動の瞬間を 分かち合いたいと 思っているのです
人生は 感動の瞬間だと 私は思うのです。
人は感動するために この地球にやってきたのではないかと
素晴らしい景色を見たり 愛する人に出会ったり
その感動を 舞踊家として共有していきたいのです
最後に 私が感じた「光」
北斎が描きたいと願った 私が感じた北斎のメッセージ この「光」を表現して
みなさんに その「光」を感じてもらって
「ああ、生きてるっていいなあ」と 感じてもらえたら 嬉しいです
天頂に上る 水の中から命が生まれて
火と水が融合し 合体し 龍となって
この世をすべて知り尽くし 最後は永遠の鳥となって 空を羽ばたき
光の存在となって 終わりをみんな伝えている
いいえ 終わりではない 決して終わらない光というもの
これを伝えることが 私の役割 私の仕事だと思っています
葛飾北斎は人生の最晩年、80歳を超えた老体で江戸から250キロもの道のりを歩き、小布施に四度も訪れて数々の傑作を残しました。娯楽が規制されていた当時の江戸で、「心から望む絵を描きたい」と願った北斎の思いは、小布施の豪農商であった高井鴻山というサポーターを引き寄せます。
その鴻山の自宅のアトリエで衣食住や画材などをすべて提供され、思う存分絵を描くことができたのです。
北斎とまさしく同じく、魂に導かれ舞踊家人生の集大成を歩み始めた那須シズノさんが出会ったスポンサー、それが文屋代表・木下豊でした。那須さんが小布施を訪れた翌月、木下との出会いからほんの数十分で、【那須シズノ×文屋】の共創による舞台がいくつも決定します。
2024年5月14日には岩松院本堂前で、謡曲仕舞奉納家の一扇(いちせん)さんとともに「鳳凰の舞 無限の光」を奉納。そして10月11日には国生みの神を祀る滋賀県第一の大社 多賀大社にて、能楽師 囃子方大倉流大鼓の大倉正之助さんの大鼓演奏とともに「重陽の節句 火と水 陰陽和合の式典」を奉納しました。
これらのプロローグを経ていよいよ、2025年5月10日にびわ湖ホールにて「火と水の結 光」が世界初演を迎えます。
北斎の魂とともに舞う那須さん、その思いに共鳴し、引き寄せられた才ある仲間たちが集結した熱い舞台の開幕は、もうすぐです。
北斎の光、そして愛を感じ、あなたの魂が望む人生と出会える場に、ぜひ足をお運びください。
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