2024年9月9日

北斎アートの創造性は二次元から三次元へ――秋の小布施で大鼓と舞のワークショップを開催

猛暑と台風に翻弄された2024年夏が、ようやく過ぎ去ろうとしています。まだ日中は暑さが残るものの、ようやく朝晩は過ごしやすくなってきました。

文屋のある長野県小布施町でも、秋の気配が感じられます。秋の味覚やアートを楽しみに、多くの人々が訪れる季節です。


この秋、葛飾北斎ゆかりの地として独自の文化を形成してきた小布施は、新たに創造の世界を広げます。

北斎作品の展示という二次元の世界から、音、映像、パフォーマンスが展開する三次元の世界へ――北斎アートを起点とした伝統芸能、現代舞踊、そしてオーディオビジュアルアートの表現者たちによる、奇跡の舞台の制作が始まろうとしています。

いまなお北斎の息づかいが感じられる、小布施のまち

小布施は、江戸期を生きた天才絵師・葛飾北斎が最晩年に長期滞在し、貴重な作品を残したまちです。その多くを所蔵する小布施の「顔」・北斎館を中心に、小布施文化は発展してきました。

小布施にとって、北斎は過去の人物ではありません。90歳で天に召されるまで画業を追究し、進化を続けた魂は、いまもこの地に生き続けています。

北斎館と文屋が協働する「北斎が見た小布施」プロジェクトでは、北斎の作品のみならず、北斎が生きた時代から現在まで小布施に残る建物や風景、食べ物や文化などを写真と解説文で紹介するパンフレットを制作しました。


文屋が経営する「ゲストハウス小布施」も、北斎が見た建物の一つです。北斎館北エリアに江戸中期から残る民家と蔵を改築し、3部屋のみの宿にしました。小布施に滞在していた北斎のアトリエからも近く、北斎が創作の合間に散歩しながら目にしていたと思われる建物です。


海外でも配布されたこの「北斎が見た小布施」パンフレットによって、これから世界中のファンが小布施を訪れてくれるでしょう。こうして北斎の息づかいが感じられる小布施には間もなく、北斎の魂に引き寄せられた現代の表現者たちが集結します。

2025年春に開幕!「火と水の結リサイタルセミナー」に向け、制作メンバーが小布施に集結

雁田山の麓にたたずむ自然豊かな岩松院もまた、「北斎が見た小布施」として紹介されている寺院です。なかでも21畳もの大きさの鳳凰図が描かれた本堂の天井絵は、北斎晩年の傑作として知られています。この巨大な鳳凰の前で、2024年5月18日、現代舞踊家の那須シズノさんが舞を奉納しました。

真っ白な鳥が大空へ飛び立つような美しい旋回舞踊――那須さんの舞を象徴するスパイラルビジョンによるこの舞の奉納が、小布施と那須さんが共創する新たな北斎アートの世界の幕開けとなりました。

2024年春に初めて小布施を訪れた那須さんは、北斎が描いたこの「八方にらみ鳳凰図」を前にしたとき、その魂に触れ涙が止まらなくなったそうです。3歳から踊りはじめ70歳を越えるいまにいたるまで、人生を賭して舞踊を究める那須さんが北斎の魂に共鳴するのは、必然といえるかもしれません。

その想いを形とする舞台が2025年春、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで開催される「火と水の結リサイタルセミナー」として開催されます。那須さんと想いを共有し、ともに舞台をつくることを快諾したのが、能楽師で大鼓奏者の大倉正之助さん(重要無形文化財総合認定保持者)、そして小布施出身の映像ディレクターである関和亮さんです。


伝統芸能と現在の映像メディアという、異分野にいるお二人が那須さんの魂の舞の制作にたずさわり、誰も想像できないまったく新しい北斎の世界観に挑戦しようとしています。

この三人にトークライブに参加予定の波動リーディングオペレーター・井上悟さんも加わり、9月下旬にすべての制作メンバーが小布施に集結します。

秋の小布施を訪れませんか――大鼓と舞のワークショップ&夕食会へのお誘い

那須シズノさん、大倉正之助さん、関和亮さん、井上悟さんが小布施にて顔を合わせ、北斎作品を前に舞台制作に関わるミーティングを行う一方で、一般のみなさまと交流できる企画を立てました。

9月25日(水)16時30分~18時、小布施町公民館講堂にて、能舞台で高い打音を表現する大鼓、そして独創的な祈り舞を体感できるワークショップが開催されます。大倉さんと那須さんの舞台を間近で鑑賞できるだけでなく、参加者もともに身体表現の魅力を楽しむことができる貴重なワークショップです。

詳細および申し込み方法は下記よりご確認いただけます。
https://e-denen.net/shizunoworkshop/

また上記リンクにて、那須さん、大倉さん、関さん、井上さんを囲む夕食会の参加も募っています。

個性を光らせながら分野の壁を越えて活躍する四人が一堂に会すとき、どのような化学反応が起きるのか――。

秋の小布施を楽しみながら、ぜひあなたもご参加ください。

「火と水の結リサイタルセミナー」の序章として、2024年10月11日(金)に滋賀県の多賀大社 にて、大倉正之助さんと那須シズノさんによる奉納舞が行われます。詳細は下記からご覧ください。
https://e-denen.net/hitomizunoyui/

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