2024年8月22日

世界平和の起点は日常のなかに――プレム・ラワットさんが絵本を通して伝えたいこと

2024年の夏休みも終盤です。宿題への取り組みに、子どもたちもエンジン全開といったところでしょうか。

夏休みの課題として思い浮かぶのが読書感想文です。ありがたいことに、文屋から出版している本も推薦図書として選定されたことがあります。

2018年、静岡県教育研究会学校図書館研究部の「平成30年度静岡県夏休み推せん図書(小学校・低学年部門)」として、絵本『あなのあいたおけ』(プレム・ラワット著/2016年出版)が選ばれました。


著者であるプレム・ラワットさんは「心の平和」のメッセージを普及するため、世界中で講演を続けてきた方です。2014年に文屋が処女作を出版させてほしいとお願いしたとき、ラワットさんは絵本の出版も希望しました。

「絵本で子どもたちに大切なメッセージを伝えたい」というラワットさんの想いを実現することは、文屋の大切な使命と認識しています。

子どもたちも楽しめる絵本を――「心の平和」を語るプレム・ラワットさんの願い

すべての人が平和に暮らす世界を想像してみてください。その世界から湧き出るものは何でしょうか。たくさんの親切の花が咲き誇るでしょう。社会がその才能、資源、エネルギーをすべての人々の福祉に使う世界を想像してみてください。今、膨大な額が防衛費に使われていますが、それが病気を攻撃するために使われる世界を想像してみてください。(2024年秋出版予定の新刊『魂に聴く』[プレム・ラワット著/加藤覚一訳]未確定原稿より)

ラワットさんが語る「心の平和」は、思想でも夢物語でもありません。これからの時代を生きる私たち一人ひとりが、自分たちの力で世界平和を実現できるという力強いメッセージです。

ラワットさんが考える平和の起点は国や組織を動かす大きな力ではなく、誰もが生きがいを感じる人生を送り、穏やかな心で過ごすこと――。それは見えない遠い場ではなく、私たちの日常のなかにあります。

父から影響を受け、4歳のときから故郷のインドで「心の平和」のメッセージを語りはじめたラワットさん。13歳で初めて講演のために国外へと出発し、以降50年以上にわたって世界各国で語り続けています。

紛争地域であってもいとわず、これまで世界の300以上の都市を訪れたラワットさんの聴講者は、すでに2,000万人以上にのぼります。みずからの肉声を届けることを貫いてきたラワットさんですが、文屋を信頼して著書の出版を快諾してくれました。

そして同時にこう話したのです。

「大人向けの本だけではなく、子どもたちも楽しめる絵本もつくってください。絵本の物語なら、泉のように湧いてきます。」

寓話だからこそ伝わる「心の平和」のメッセージ

文屋が出版したラワットさん初の著書『Pot with the Hole 穴のあいた桶』(2015年)は、寓話を集めたエッセイです。

「穴のあいた桶」は、庭師の水を運ぶ桶が期せずして自分に空いてしまった穴により、自分の価値とは何かを考えるストーリー。本書ではほかにも植物や動物、おじいさんや旅人などが織りなす機知に富んだ物語が展開されます。

こうした寓話のメッセージが私たちの心に響くのは、そこに日常があるからです。絵本に登場するキャラクターたちは、日々の生活のなかで気づかないうちに自分を縛りつけているものに、優しく気づかせてくれます。

絵本『あなのあいたおけ』より


文屋はこれまで『あなのあいたおけ』、そして『なりたいなぁ』(2017年)と、2冊のラワットさんの絵本を世に送り出しました。

思わず読み進めてしまう身近なストーリーは子どもが楽しむことができて、大人にも深い気づきを与えてくれるもの。日常を描く寓話だからこそ伝わるラワットさんの「心の平和」のメッセージは、全世代に向けた魅力ある絵本をつくりだします。

そして文屋ではいま、3冊目の絵本の企画が進行中です。

「王様のデザート」――人間の欲が生み出す世界

『Pot with the Hole』では「王様とネズミ」、その後出版された『呼吸』(2022年)では「王様のデザート」として、一つの寓話が収録されています。

これは王様が身をもって、欲が生み出す混乱を体験する奇想天外なストーリーです。自身が「もっとおいしいデザートを」と求め続けることで宮殿に大量のネズミが集まり、その退治のために多くの人や時間、エネルギーが使われてしまいます。

身近にありふれた「もっと」という思いがすべての争い起点であり、貴重な資源が奪われしまうこと。いま実際に世界で起こっている戦禍も、こうしたごく当たり前の日常から生み出されることを想起させます。

王様はいま各国で起こる争いを先導するリーダーたちであり、そして私たち自身でもあるのかもしれません。

ラワットさんが好み、多くの講演で語られるこの「王様のデザート」を絵本にしよう、という企画がまさにいま、文屋で進められています。

ラワットさんが語る「人間の欲が生み出す世界」が、新たな絵本でどのように描かれるのか――。どうぞご期待ください。

※2024年秋発売予定!仕上がり次第、全国発売日前にお届けします。
【新刊『魂に聴く』(プレム・ラワット著/加藤覚一訳)のご予約】
https://bunya.shop-pro.jp/?pid=178962887


※プレム・ラワットさんが来日!10歳以上大学院生以下の学生は200名まで無料でご招待
【出版記念講演会&祝賀ティーパーティー】
開催日:2024年10月19日(土)

時間:13時(12時15分受付開始)~16時30分

会場:京都パルスプラザ 稲盛ホール

詳細とお申し込みは下記より
https://e-denen.net/premrawat-kyoto2024/

文屋だより 登録はこちら
PAGE TOP