2024年8月8日
2024年8月に入りました。私たち日本人にとって、原爆投下後に終戦を迎えた8月は戦争と平和を深く考える月です。
しかし戦後80年に近い月日が流れ、戦禍を生きた人々の高齢化が進み、少しずつ悲劇が忘れ去られようとしています。そして世界を見渡せば戦禍は広がるばかり。平和とはほど遠い日常に不安を感じている人も多いでしょう。
平和とは一体何なのか――いま世界レベルでそのことを考えるきっかけの一つがノーベル平和賞です。歴代の受賞者の活動記録から、平和を実現する視点はさまざまにあること、また歴史とともに変わりつつあることも感じられます。
2024年秋、文屋は新刊『魂に聴く』(プレム・ラワット著・加藤覚一訳)を出版します。非公式ではありますが、本書の著者であるプレム・ラワットさんは2010年および2014年にノーベル平和賞にノミネートされた方です。
ノーベル賞は、ダイナマイトの発明によって莫大な富を得たスウェーデンの実業家・アルフレッド・ノーベルの遺言に従い、1901年より授与が開始された世界で最も栄誉ある賞です。物理学、化学、医学・生理学、文学、平和の5分野(1969年より追加された経済学賞はノーベル財団としては非承認)の受賞者の名は毎年、世界に知られるところとなります。
そのなかでノーベル平和賞は、ノーベルが遺した「国家間の友好関係、軍備の削減・廃止、及び平和会議の開催・推進のために最大・最善の貢献をした人物・団体」というメッセージにより、唯一、個人だけでなく団体への授与が認められている賞です。
一国の首相や平和運動家、平和活動団体など、長い歴史の中で世界平和を実現するために国や組織を動かしてきた人物や団体に贈られてきたノーベル平和賞。日本でただ一人受賞した佐藤栄作は1964年から1972年まで内閣総理大臣を務め、非核三原則を提唱しました。
一方、この賞にはさまざまな批判や論争も起こっています。
これは主に政治的な視点によるものです。評価の対象となった受賞者の行動や業績が別の紛争を招くなど、時や立場によって異なる評価が下されることにより意義が唱えられています。
平和とは何かを政治的な視点で見る限り、その貢献は絶対的なものではありません。純粋に客観的であることが難しいノーベル平和賞の選定方法はもちろん、賞そのものへの妥当性すら議論されています。
こうしたなか、2021年には政治家や国際組織のトップではない2人のジャーナリストにノーベル平和賞が授与されました。
プーチン政権の弾圧に屈せず、リベラルな論調で率直に批判を述べるロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長ドミトリー・ムラートフ氏、およびフィリピンのドゥテルテ政権の「権力の乱用」を批判したジャーナリストであるマリア・レッサ氏です。
報道や言論の自由が平和の実現に不可欠、という評価によってノーベル平和賞が決定されたことは、平和と何かに関する考え方を大きく発展させるものでしょう。国や組織を動かすことだけではなく、私たち一般人に何が起こっているかを知らせ、判断を委ねることもまた平和への道筋であるということです。
平和をさらに個人的なものとしてとらえるということ――こうした考えを深め、国家レベルの紛争をなくすことより、一人ひとりが自分の心を穏やかに保つことこそが恒久的な平和に繋がるというメッセージ。
これが、プレム・ラワットさんが考える「心の平和」です。
いかに政治的な視点から戦争が回避されたとしても、個人の心が乱れているかぎり本当の意味での平和にはなりえません。ラワットさんのメッセージは、平和の担い手は国や組織ではなく、私たち一人ひとりであることを訴えているのです。
平和という感覚は私の最も深い部分であり、しかし、同時に私を超える、私たち全員を超える何かの一部でもあるのです。私が死んだ後も、あなたが死んだ後も、平和という可能性は宇宙に存在する全ての原子の中で生き続けます。無限なのです。「ただ感じる」ことにより、私たちはその無限の平和と繋がることができます。(『魂に聴く』未確定原稿
より)
すべてを有限ととらえるからこそ、奪い合い、争いが起こっているのがいまの世界の現状です。私たち一人ひとりが自己の無限の可能性に気づくこと――ラワットさんが考える「心の平和」の原点はここにあります。
ラワットさんは4歳のときから生まれ故郷のインドの人々の前でこのことを語りはじめ、その後60年以上のわたり世界の300都市で講演を行い、2,000万人を超える人々に平和のあり方を語り続けてきました。
それほど多くの人々が耳を傾ける真の平和への道筋――それは国や組織を動かすことではなく、一人ひとりが自分の本当の可能性に気づくことです。
10年にわたり版元としてラワットさんのメッセージを伝えてきた文屋は、ラワットさんこそこれからの時代のノーベル平和賞にふさわしい人物と確信しています。
本書を読むことで、多くのみなさまがきっとそのことに共感してくださるでしょう。
※今秋発売予定!仕上がり次第、全国発売日前にお届けします。
【新刊『魂に聴く』(プレム・ラワット著/加藤覚一訳)のご予約】
→https://bunya.shop-pro.jp/?pid=178962887
※プレム・ラワットさんが来日!10歳以上大学院生以下の学生は200名まで無料でご招待
【出版記念講演会&祝賀ティーパーティー】
開催日:2024年10月19日(土)
時間:13時(12時15分受付開始)~16時30分
会場:京都パルスプラザ 稲盛ホール
詳細とお申し込みは下記より
→https://e-denen.net/premrawat-kyoto2024/