2024年7月11日

北斎×現代舞踊×伝統芸能のコラボレーションに、映像ディレクター・関和亮さんが参画

2024年7月に発行された新千円札の裏面の図柄は、稀代の絵師・葛飾北斎が描いた『富嶽三十六景・神奈川沖浪裏』です。「グレート・ウェーブ」の名で世界中に知られているこの絵の波頭のとらえ方は、1/5000の超高速でシャッターを切った瞬間にも匹敵するとも言われています。

撮影技術が現在には遠く及ばない江戸期に、これほどの作品を創り上げるアートセンスを持っていた北斎。もし現代に生きていたならば、想像もつかないような芸術作品を生み出すクリエイターになっていたでしょう。

しかし、時を超えていまも人々を魅了する北斎アートは、決して過去のものではありません。画業にとどまらずあらゆる表現者の創作意欲を刺激し、その作品を通して私たちの心を感動で満たしてくれます。

信州小布施は、北斎が晩年に訪れて創作活動をしたことで知られる地です。このまちに拠点を置く文屋はいま、北斎アートと日本が誇る表現者たちをつなぎ、その掛け算によって既存の枠組みを超える創意にあふれたイベントを企画しています。

北斎×現代舞踊×伝統芸能のコラボレーションを彩る映像アート制作

世界で活躍する現代舞踊家・那須シズノさんは2024年早春に初めて小布施を訪れ、北斎が描いた岩松院の天井画「八方にらみの鳳凰図」の下でその魂と出会いました。那須さんはいま、居住地のハワイ島で北斎に捧げる火、水、そして龍の舞を制作しています。


これは2025年5月10日、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで予定されている「火と水の結リサイタルセミナー」で披露する舞です。那須さんと重要無形文化財総合指定保持者でもある能楽師 囃子方大倉流大鼓の大倉正之助さんの共演による、舞と大鼓(おおつづみ)演奏のパフォーマンスが予定されています。


日本が誇る現代舞踊と伝統芸能が織りなす、創造の舞台。その背景では、小布施に残された北斎最晩年の傑作である「八方にらみの鳳凰図」をはじめ、小布施中心街にある「北斎館」に収蔵された上町祭屋台の天井画「怒涛図」の「男浪・女浪」などの映像が映し出される予定です。


本企画を主催する文屋はこのほど、舞台を彩るこの映像アートの制作プロデューサーを決定いたしました。

いまを生きる表現者としてともに北斎に向き合い、世界への発信を可能とする素晴らしいパートナーをご紹介します。

小布施出身の映像ディレクター・関和亮さんと志をともに

2000年代以降、日本のエンターテイメント界で数々の優れた映像作品を発信している映像ディレクター・関和亮さんは、2024年7月5日に文屋代表・木下豊と初対面。その場で今回の申し出を快諾してくださいました。

関さんは日本有数のアーティストのミュージックビデオをはじめ、多くの人が目にしたことのあるCMやTVドラマなどを手がけています。

小布施に生まれ、ご両親の教育方針で幼い頃から音楽に親しんできた関さんは、映像制作においてその素材を「とことん好きになる」ことで独自の作風を築いてきました。特に音楽、ストーリー、ビジュアルを結合させるミュージックビデオの存在を知ったとき、未来が拓けるのを感じたといいます。

関さんは自身の感性を大切にしながらも、制作に関わる人、作品を見る人、みんなが幸せになれることが前提と語ります。そして制作した作品は、これまで多くの栄えある賞を受賞。いまや日本を代表する映像ディレクターとなりました。

近年ではドラマや映画の監督としても活躍する関さんは、まさに日本が誇る表現者の一人です。

那須シズノさんと大倉正之助さんが創り上げる世界観の中で、関さんが制作する北斎のビジュアルがどのように表現されるのか――。きっと皆さまの期待を上回るものになるに違いありません。

「いま北斎」を迎え入れる「いま鴻山(こうざん)」になるために

かつて小布施で北斎を迎え入れた当地の豪農・豪商 高井鴻山(たかいこうざん)は北斎を歓待し、自宅をアトリエとして提供しました。地元・東京都墨田区から遠く離れた小布施に何度も足を運ばせるほどの関係性が、北斎と鴻山、そして小布施の人々との間にあったのでしょう。


この関係性が晩年の北斎の傑作を生み出したと言っても、過言ではありません。

そして現在の小布施は北斎ゆかりの地として情報を発信し、「いま北斎」を迎え入れる「いま鴻山」になるべく、北斎を中心としたまちづくりを推進しています。

文屋が主催する2025年の「火と水の結リサイタルセミナー」は、この活動を象徴すべきイベントとなるでしょう。「いま北斎」の一人、小布施出身の関和亮さんを迎え入れ、まさに千両役者がそろいました。

この奇跡のコラボレーションを皮切りに、これから多くの「いま北斎」を生み出せるよう、文屋は小布施で「いま鴻山」としての取り組みを、仲間たちと楽しんでいきます。

※2024年秋、翌年びわ湖ホールで開催される「火と水の結リサイタルセミナー」の序章として、下記の予定で大倉正之助さんと那須シズノさんによる奉納舞が行われます。ご興味がある方は、文屋までお問い合わせください。

【重陽の節句 火と水 陰陽和合の式典 奉納の大鼓演奏と舞】
日時:2024年10月11日(金) 10時30分~14時30分 

場所:多賀大社(滋賀県犬上郡多賀町多賀604)能舞台 

葛飾北斎ゆかりの地として独自の発展を見せた小布施のまちづくり。その軌跡がわかる書籍『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(磯野謙・著)は文屋より好評発売中です。

【文屋サイト】
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