2024年6月13日

「北斎が見た小布施」プロジェクトに導かれたご縁――現代舞踊家・那須シズノさんと文屋の出会い

江戸期を生きた天才画家・葛飾北斎は、90歳で亡くなるまで絵の感性を磨き続けた文字通りの「画狂老人」。北斎が最晩年に何度も訪れた信州小布施には、人生の終盤に研ぎ澄まされた感性による素晴らしい作品が多く残っています。

こうした北斎の傑作は、いま全世界から多くの人々を小布施に引き寄せています。この世界中の北斎ファンにもっと北斎を身近に感じてほしいと願い、文屋は2024年春に「北斎が見た小布施」プロジェクトを立ち上げました。

その内容は、肉筆画を中心とした北斎の作品はもちろん、小布施に江戸期から残る建物や自然の風景、文化や食べ物に至るまで北斎の五感に触れたものを詳細に紹介することです。これらを発信することにより、多くの人々に北斎の追体験をしていただくことができます。

このプロジェクトによって文屋が北斎にあらためて正面から向き合ったとき、まるで扉が次々と開くようにさまざまなご縁がつながりました。

北斎を軸としながらも、過去ではなく未来を志向するのが文屋のビジョンです。今回の出会いは、まさにこのビジョンが具現化されたといえるものです。

現代舞踊家・那須シズノさんが触れた葛飾北斎の魂

小布施が誇る北斎の作品のなかでも、曹洞宗岩松院の本堂大間に描かれた21畳の大きさの天井画「八方にらみの鳳凰図」や、「北斎館」に展示された上町祭屋台の天井画「怒涛図」の「男浪・女浪」は良く知られています。まさに北斎の集大成ともいえる晩年の傑作です。

2024年早春、かねてより北斎に魅了されていた一人の女性が小布施を訪れました。念願の来訪を果たしたのは、現代舞踊家・那須シズノさんです。那須さんは北斎館や岩松院で作品を鑑賞し、北斎と魂が触れ合うことを感じたといいます。

なかでも「八方にらみの鳳凰図」の絵の下では涙が止めどなく流れ、2時間も動けなくなったとのこと。どの位置から鑑賞しても目が合う鳳凰が放つ、圧倒的な存在感。色彩豊かに描かれた天井絵は現在まで一度も塗り替えられたことがなく、170年の時を経ても変わらない鮮やかさと光沢を保っています。

天に召される直前にこの絵を描いた北斎の魂は、ここで永遠に生き続けている――そう確信した那須さんは瞬間的に、「北斎の魂を受け継いで新たな舞を創作する」という使命を悟りました。


ところで小布施の旅で那須さんが選んだ宿は、江戸時代から残る古民家と蔵を改築した「ゲストハウス小布施」です。この建物は、小布施に滞在していた北斎のアトリエから徒歩数分の距離にあり、北斎の息づかいが感じられる場所です。

文屋が経営するこの宿に宿泊した那須さんですが、代表・木下豊との出会いはその1ヵ月後でした。

出会って30分後には決定した岩松院、奉納の舞

2024年4月27日、二人の出会いは京都でした。出版社文屋の大切な著者の一人である井上悟さんの講演会で、那須さんと木下は横並びに座り、すぐに意気投合。その30分後には那須さん、そして同席していた謡曲仕舞奉納家の一扇(いちせん)さんによる岩松院での奉納の舞が決定したのです。


その実現は、この日から3週間にも満たない5月14日。岩松院本堂前で北斎の魂と対話するかのように、『鳳凰の舞 無限の光』と題する那須シズノさんの舞が披露されました。

3歳から踊りはじめ、70歳となったいまも繊細で力強い大地の躍動を表現する那須さんの舞は、舞踊の技を極め、舞における深い精神性を学ぶことで醸成した「スパイラル・ビジョン」と呼ばれる旋回を特徴とします。この日の舞もまた真っ白な鳥が飛び立つ様子を表現した、美しい螺旋舞でした。

母なる自然から学び、独自の世界観を表現する那須シズノさんのパフォーマンス

20年前からハワイ島に暮らす那須さんは毎日、ボルケーノ国立公園にある世界最大のマウナロア火山の火の神さまに舞を奉納。一方で1年間の三分の一は近江・比良に暮らし、琵琶湖の水の神さまに祈りを捧げています。

幼い頃にクラシックバレエの世界で希有な才能を発揮し、その後はプロのダンサーとして世界各国から高い評価を受けてきた那須さん。高い技術を基礎としながらも情感あふれる独自の世界観で舞を表現するパフォーマンスは、いまなお世界中で披露されています。

さて北斎を通して繋がった那須シズノさんと文屋のコラボレーションですが、岩松院の奉納舞だけでは終わりません。出会いからわずかの期間で、より大きな企画が次々と決定しています。

詳細は次回あらためてお伝えします。どうぞお楽しみに。

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