2024年4月4日
2024年3月、江戸時代の人気浮世絵師・葛飾北斎(かつしか ほくさい・1760~1849)の代表作「富嶽三十六景」の全作品が5億4000万円で落札されたというニュースが舞い込みました。
米国・ニューヨークで行われたこのオークションには、世界中から問い合わせがあったとのこと。稀代の天才絵師・葛飾北斎が国籍を問わず、多くのアートファンを魅了しつづけていることがよくわかります。
自らを「画狂老人」と称した北斎は、90歳で亡くなるまで画の道を追究し続けた研究熱心な人物でした。その生涯の最晩年、83歳で初めて現在の長野県小布施町を訪れ、何度も滞在して数々の作品を残したことは良く知られています。
これらの作品を展示する北斎館をまちの「顔」とする小布施は、いまや北斎が生誕した東京都墨田区に次ぐ北斎ゆかりの地といえるでしょう。
この小布施を拠点とする文屋は2024年春、北斎館との協働で「北斎の聖地OBUSE」に全世界のファンを呼び寄せる新たなプロジェクト「北斎の見た小布施」を始動します。
そしてこのプロジェクトを軸に、小布施にまつわる新たなブログシリーズ「北斎の見た小布施、そして未来へ」をスタートします。
天才絵師として名を馳せていながら少々変わり者でもあったと言われる北斎は、絵に邁進するあまり身の回りのことにはまったく無頓着。掃除や片付けができず、生涯で90回も引越しをしたといわれています。しかし居住地のほとんどは墨田区内でした。
その北斎が80代になってから小布施に4回も訪問して長期滞在し、自身の集大成とも言える数々の肉筆画を残しています。小布施にそれほど深い思い入れがあったのでしょう。
北斎をこの地に迎えた高井鴻山(たかいこうざん)は、小布施を拠点に江戸や京都、大坂などで手広く商売を営む高井家に生まれた人物です。鴻山は少年期から青年期にかけての遊学を通して学問や芸術に親しみ、小布施に戻って高井家の当主となってからは多くの思想家や芸術家を招いて交流を深めました。
こうしたなかで鴻山は北斎を自宅のアトリエに迎え、「先生」と呼び手厚くもてなしたといいます。80歳を超えても絵に対する情熱がまったく衰えなかった北斎が何度もこの地を訪れた背景には、40歳以上も歳の差がありながらその感性に共感する鴻山との友情があったのでしょう。
とはいえ長期滞在を繰り返した北斎が小布施で接したのは、鴻山ひとりではなかったはずです。この地の気風に触れ、そこに心地良さを覚えたことが何度も足を運ぶきっかけになったことは、想像にかたくありません。
小布施には、北斎が生きた時代の原風景が残っています。北斎アートを愛する人々がこのまちを歩けば、その息づかいを間近に感じることができるでしょう。
遠方に志賀高原の山々が連なる雁田山を背景に、松川が千曲川へと注ぐ扇状地である小布施の里。周囲からの境界がはっきりとしたこの自然豊かな風景とともに、ここには180年以上前の建物や社寺などがいまも多く残っています。
江戸期から受け継がれる市をはじめとした文化、オープンガーデンをはじめ日々の暮らしを美しく調えて客人を迎え、歓びを交わす小布施人(おぶせびと)の気風もこのまちに在りつづけています。
北斎が愛した場所で、北斎の日常を追体験できる小布施。この地で過去を振り返るだけでなく、いまに生きる「北斎好み」の風景や気風を宿す小布施人たちとの交歓を体験して「北斎的なるもの」に目覚め、それぞれの未来を志向していただくこと。
これらを実現するのが「北斎の見た小布施」プロジェクトです。
文屋が企画し、北斎館が主催する「北斎の見た小布施」プロジェクトは、北斎の肉筆画はもちろん、北斎の見た風景、建物などの人工物、食品、風物や気風などあらゆるものを分類して、写真撮影と解説文、地図への記録を行い、集積して編集します。
このデータベースを日本語版のパンフレット、書籍、公式ホームページ、公式アプリなどに活用する基本データとして活用し、更新していきます。
この発信は国内向けだけではありません。英語版のパンプレットを制作し、「北斎の見た小布施」プロジェクトの要旨や小布施町の説明をメインコピーとして、収集したデータを元に写真や解説文を英訳して世界へと発信します。
歴史と「いま」を共存させ、未来へと繋げる小布施の新たなプロジェクトを進行する文屋が、その進捗と学びをこのブログでレポートしていきます。どうぞお楽しみに。
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