2024年2月29日

小布施のまちづくりを世界へ発信――文屋は「美日常」の新たな場づくりへ

長野県小布施町は、受け継がれた歴史と洗練された“いま”を併せもつ、一度訪れたら何度も足を運びたくなるまちです。

その魅力の源泉とは何かをお伝えすべく、このブログでは数ヶ月にわたって書籍『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(磯野謙・著)をご紹介してきました。

小布施の魅力の源泉にはすべて「人」が介在しています。小布施の歴史や風土を築いてきた人々のあり方に倣い、いまを生きる人々が対話をとおしてさまざまなアイデアを生むことで、独自の文化が築かれてきました。

人が介在することによって生まれるまちの魅力。それは時を経て世の中がいかに変化しようとも、無限に生み出し続けることができるものといえるでしょう。

2023年12月の本書の出版は、これからの時代のまちづくりの新たな価値を、小布施から広く世界に発信するものと確信しています。

そしてその版元である文屋は本書の出版を経て、この小布施でひと・まち・ことをつなぐ「美日常」の新たな場づくりを展開します。

世界を知る著者・磯野謙さんが伝えたい、小布施のまちづくり

本書の著者である磯野謙さんは、小布施のまちづくりをリードしてきた「二人の市村」――市村良三さんと市村次夫さんからの学びを、地域や世代を超えて人々に伝えたいと考えました。そのために磯野さんが発案し、2021年に数人の仲間たちと始めたインタビューの企画が本書制作のきっかけです。

磯野さんは、「世界のローカルをつなぐ」というビジョンをもって再生可能エネルギー事業を営んでいます。このビジネスを展開するなかで70以上の国や地域を訪れたその目にも、小布施は奇跡のまちとして映っています。

そして磯野さんが語るのは、このまちづくりを先導してきた良三さんと次夫さんの研ぎ澄まされたセンスには、群を抜くものがあるということ。未来を描き、周囲の人々の共感を得ながら、描いた未来像を実現させていく力です。

10年以上にわたる「二人の市村」さんとの関わりのなかで、磯野さんは二人からの学びは自身の人生の学びになるものと実感しました。

地球規模の課題をローカルから解決するために、地域の中に飛び込み、目の前で起きている事象と向き合いながら、答えのない道をつくり出していくこと。こうした場で、文化や背景、考え方が違う人たちと対話し、周囲の人たちの共感を得ながら最後までやり切ること。

理想だけではなく、こうした厳しい現場でビジョンを実現してきた磯野謙さんが語り手であるからこそ、本書が伝える内容、その説得力には大きなパワーがあります。

そのことを確信した文屋代表・木下豊にとって、本書の出版は間違いなく使命でした。ローカルからグローバルへと展開するまちづくりのあり方として本書を発信すべく、英語翻訳バージョン(Kindle版)も発売されました。

文屋は今後も力を尽くしてまいります。

小布施の魅力は「美日常」――日々の小さな幸せの積み重ね

良三さん、次夫さんと同じく小布施で生まれ育ち、小布施のまちづくりにも深く関わってきた木下は、このまちの魅力を「美日常」ということばで表しています。

世界遺産や大型リゾート施設など、いわゆる観光の“目玉”に頼らない――。小布施に引き寄せられる人々は、非日常的な観光資源を目的にやってくるのではなく、日常の暮らしぶりの延長にある心地良い雰囲気を感じた結果として、何度も足を運んでくれます。

この上質で小さなハレ「美日常」は、大きな期待ではなく小さな幸せの積み重ねによって築かれる価値。たとえば小布施には有名なお城や庭園はありませんが、伝統のなかにもモダンな雰囲気を醸し出す建物や、住民がおもてなしの心で調えたオープンガーデンがあります。

気持ちよくいつまでも歩いていたくなる、ふと周りの人と話してみたくなる、ひと・こと・まちをつなぐ「美日常」の空間は、確かにここにあるのです。

『小布施まちづくりのセンス』のなかに美日常という言葉は登場しませんが、良三さん、次夫さんがまちづくりを始めたころからその歩みにかかわってきた木下のビジョンは、まさに二人と共鳴し続けています。

ひと・こと・まちをまるごとつなぐ――小布施の宿り場≪ゲストハウス小布施≫

本書の最後の取材が終了し、執筆が進んでいた2023年6月、文屋に運命的なできごとが舞い込みました。

それは、30年近く前、良三さんを中心に設立された第三セクターのまちづくり会社「ア・ラ・小布施」に木下が参加し、事業部長としてかかわったゲストハウスを木下が再び営む機会です。

小布施の真ん中に江戸時代からある古民家と土蔵を活かした3室の宿≪ゲストハウス小布施≫。文屋はこの宿り場をリニューアルオープンし、小布施の「美日常」を新たに体現しようとしています。

木下が≪ゲストハウス小布施≫に再び携わることになった運命的なストーリー、そしてここに込められた、ひと・こと・まちをまるごとつなぐ宿り場をつくるというおもい。これらを次回から数回にわたってお伝えしていきたいと思います。


『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(税込2,200円)は、下記よりご購入いただけます。

【文屋サイト】
https://bunya.shop-pro.jp/?pid=178006972

【Amazon】
ソフトカバー(日本語):https://amzn.to/49MRPiJ

Kindle版(英語):https://www.amazon.com/Insights-Obuse-Collaborative-Development-Small-Town-ebook/dp/B0CSBGMZH5/

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