2023年12月14日

若者を突き動かす小布施のまちづくり――世代をつなぐ文化のバトン

町の人口が減り、超高齢化が進む多くの地域では、いかに若者たちにとって魅力あるまちづくりができるかが重要な課題となっています。

若い人たちの意見を取り入れるため、若者会議を開催したり若者団体の活動を奨励したりと、取り組みの工夫は地域によってさまざまです。若者たちを取り込みながらうまくまちづくりを進めている地域がある一方で、悩みを抱える地域も少なくないでしょう。

こうしたなかで全国から高い評価を得ているのが、長野県小布施町の「協働と交流のまちづくり」。ここには若い世代の人々がアイデアを実現できる土壌があり、小布施ブランドを引き継ぐ魅力ある事業が次々と生み出されています。

文屋は2023年12月に『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(磯野謙・著)を、出版します。

本書の主役である市村良三さんと市村次夫さん、いとこ同士の二人は、小布施に世代を超えた交流を生むまちづくりを続けてきました。本書は、若者たちともに進めるまちづくりに試行錯誤しているみなさまに多くのヒントをもたらす一冊です。

著者の磯野謙さんが見出した世代をつなぐ文化のバトン

本書の著者である磯野謙さんは、30代で会社を立ち上げた青年実業家です。2011年、30歳だった磯野さんの「自然エネルギーを増やす」という創業のおもいに熱心に耳を傾けたのは、当時小布施町長を務めていた市村良三さんでした。

その日から10年以上、磯野さんは30歳以上も年の差がある良三さんと小布施に自然エネルギーをつくる活動を続けるなかで、そのまちづくりのセンスに魅了されるようになりました。それが本書の制作のきっかけです。

生まれ育った町に誰より誇りを持ちながら、時を経た変化も受け入れて感性をアップデートさせる良三さんと次夫さん。この二人のあり方は、違う世代を生きる磯野さんにも大きな影響を与えました。

私自身が、二人の行動や考え方から改めて教えていただいたと感じるのは、「文化とは何か」ということでした。自分の軸というのは土地や歴史から生まれる。自分の過去からバトンが渡ってきているのです。そのWay of Life の集大成こそが文化なのだと思います。(『小布施まちづくりのセンス』あとがきより)

著者の磯野さんが二人のまちづくりの軌跡を紐解くなかで見出した文化のバトン――まちづくりにおいて世代をつなぐ鍵は、まさにここにあるように思えます。

若者を応援し、斬新なアイデアの実現を後押しする

1980年代から次夫さんとともに小布施のまちづくりに邁進し、2005年に小布施町長に就任した良三さんは、公私にわたって若い世代の取り組みを応援してきました。

著者の磯野謙さんとの活動もその一つです。2012年、良三さんは磯野さんが立ち上げた自然電力株式会社に、小布施のエネルギー改革の起点となる「小布施エネルギー会議」のコーディネートの仕事を託しました。

そこでの議論を踏まえ、2018年には、自然電力と地元のケーブルテレビ会社、そして小布施町の三者の出資でながの電力株式会社を設立。その後地元の松川で小水力発電所の稼働が実現しています。

それ以前にも2007年から2013年ごろまでに、小布施では若者を中心にスポーツを切り口とした事業が数多く生まれました。室内スケートボード施設やスノーボード、スキーのジャンプ練習施設、さらにはニュースポーツの練習拠点やボルダリング施設などが次々とオープンし、世界レベルで活躍する選手も輩出されています。

2018年以降も、若い世代のアイデアはどんどん実現されています。当時20代と30代だった地元出身の兄弟(文屋の木下豊の長男・次男)は有休農地を活用した地域内循環型の牧場経営を開始。また農家の所得向上や課題解決を目指した農業団体「おぶせファーマーズ」も立ち上がりました。災害ボランティアを想定した重機講習や災害支援を行う「nuovo(ノーボ)」もでき、新しい災害対策のアプローチとして全国的な注目を集めています。

若者を突き動かした「二人の市村」

良三さんは2012年から2018年まで「小布施若者会議」を開催し、小布施町内外の若者たちに合宿をしながら議論する場を設けます。それをきっかけに新たな行政政策や事業が起こり、若者が小布施に移住したりまちづくりに参加したりする流れができました。

良三さんは初めて会った磯野さんのおもいに真剣に耳を傾けたように、若者たちのアイデアに真摯に向き合い、大切に育てました。その良三さんの姿勢が文化のバトンをつなぎ、若者たちを突き動かしたのでしょう。

磯野さんは当初、こうした若者たちが先人から学ぶきっかけをつくるために、「二人の市村」さんへのインタビューを開始しました。それは、他でもない磯野謙さんにとって、二人が「人生に大きな影響を与えてくれた」人物であり、自分を突き動かす存在であったからです。

「二人の市村」が世代を超えたまちづくりの魅力をいかにつくりだしたのか――。当事者の一人である磯野さんが描くストーリーを読み、ぜひあなたもその謎を紐解いてみてください。

『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(税込2,200円)は、下記よりご予約受付中です。

https://bunya.shop-pro.jp/?pid=178006972&fbclid=IwAR38iqc99kfcEzJ9qlTWy3ryOIwkL8HQLKSZ6LN6x0Lh4Fltlo1D8Kmlbgw

【全国の書店・ネット書店にて一般発売】
発売日:2023年12月19日

【小布施町内のみ先行発売】
発売日:2023年11月12日

<発売場所>
① 小布施町観光案内所(小布施文化観光協会事務局)小布施駅舎内 
② スワロー亭 おぶせミュージアム中島千波館 前 火水木定休 12時~18時 
③ 文屋 長野県上高井郡小布施町飯田45

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