2023年4月20日

「想い」を商品化する研究開発とは ― かんてんぱぱ・伊那食品工業に学ぶビジネスのあり方

新緑がまぶしい季節になりました。いよいよ来週末からはゴールデンウィークが始まります。

2023年は、コロナ禍以降3年ぶりに、人の動きがほぼ平時に戻ると予想されています。新型コロナによって大きな影響を受けたビジネスは、まさに起死回生のチャンス。新たな打ち手を考えていきたいものです。

コロナによる環境の劇的な変化を経ていま、人々の価値観はさらに多様化しています。

これからの商品開発は、不特定多数の顧客ニーズに100%合わせては立ち行かなくなるでしょう。見込み客を発掘し、リピーターやファンを増やしていくことが必要です。

そこで大切な軸になるのが、自社の「想い」は何かということ。

文屋は2023年1月に『命の塩ぬちまーす “あるべき姿”の塩、“あるべき姿”の経営とは』を出版しました。本書のテーマのひとつは、沖縄の海塩「ぬちまーす」を通じてこれからの時代の商品開発の方法を探ることです。

「想い」をいかにビジネスに展開していくかを考えるきっかけになる一冊です。

「幸せをつくる」という想いの共感が新たなビジネスを展開

本書は沖縄の海塩「ぬちまーす」を起点としたビジネス書ですが、著者は「ぬちまーす」の開発者ではありません。

著者である塚越英弘氏は、長野県伊那市に本社を置き、寒天を主力製品とする伊那食品工業の社長です。トヨタ自動車の前社長である豊田章男氏も「師」と仰ぐ同社の最高顧問、塚越寛氏の後を受け継ぎ、独自の経営理念によって食品ビジネスを展開しています。

では寒天を製造する伊那食品工業がなぜ今回、「塩」の本を出版することになったのか――。そこに同社の独自性、つまり「想い」があるのです。

「いい会社をつくりましょう」を社是に掲げる伊那食品工業は、経営の目的を「人と社会の幸せ」と公言しています。「安いものを売る」「儲けをふやす」といった動機ではなく、「幸せをつくる」ためにビジネスを展開しているということです。

「ぬちまーす」は、海を「生命誕生の場」と信じる沖縄在住の高安正勝さんが開発した塩であり、ヒトの生命の維持継続に必要なミネラルを他のどの塩よりも豊富に含んでいます。

「幸せをつくる」という付加価値が商品には不可欠――。その想いが「ぬちまーす」の開発コンセプトと合致したからこそ、伊那食品工業はこれまで15年以上にわたり、「ぬちまーす」を支援してきました。

伊那食品工業は高安正勝さんと協力しながら量産のための新たなシステムを開発しました。そして「ぬちまーす」を多様な食品に応用できるように、研究開発をすすめています。

まさに想いの共感が新たなビジネスを展開したといえるでしょう。

「想い」を商品化する研究開発

伊那食品工業は、主力製品である寒天の可能性を大きく広げることで会社を成長させてきた企業です。同社の研究開発により、もともとは和菓子などの用途にかぎられていた寒天からさまざまな食品が生まれ、いまも毎年新しい商品が開発されています。

こうした成果は、社員もまた「幸せをつくる」という想いに共感し、研究開発に取り組んできたことで積み重ねられました。その証しとして伊那食品工業には地元を始めとするたくさんのファンがおり、近年ではオリゴ糖や日本酒などの分野にも進出しています。

社員数の10%を研究開発部門に配置するようにしてきたことで、同社は仕組みとしても「想い」を商品化することを実践してきました。

伊那食品工業には、企業の目標を達成するための「戦略」はありません。社員を動かすのは経営者が考えた目標や方法ではなく、その想いに共感できること、そしてそれを自分たちの力で実践できる場があることだと考えられているからです。

書籍『命の塩ぬちまーす』で綴られる伊那食品工業の日常を通して、いま「戦略」を考えている経営者のみなさまにもきっと新たな発見があるはずです。

書籍『命の塩ぬちまーす』が伝える、伊那食品工業のビジネスのあり方

伊那食品工業の塚越寛氏の経営哲学については、文屋の書籍も含めて多くの著書が出版されてきました。しかし本書では、これまで多く触れられてこなかった社長や社員たちの日常的な取り組みについて詳細に語られています。

食品ビジネスにかかわる方はもちろん、伊那食品工業の経営哲学に興味をもたれるすべての経営者のみなさまも、自社の新たな商品価値を見つけ、ビジネスに展開していくきっかけが見つかるでしょう。

本書を通して、ぜひ多くのみなさまに「想い」を形にするビジネスのあり方を見出していただきたいと願っています。

『命の塩ぬちまーす “あるべき姿”の塩、“あるべき姿”の経営とは』は下記よりお求めください。

https://bunya.shop-pro.jp/?pid=172621358

※文屋では、伊那食品工業の「年輪経営」を学ぶオンラインスクールも展開しています。

【末広がりの年輪経営プロジェクト】
ビジネス・オンラインスクール「塚越寛さんに学ぶ年輪経営の極意」

<1年間コース>
https://seminars.jp/seminars/6118

<速習コース>
https://seminars.jp/school/schools/55/courses/319/payment_plans/918/specified_members/new

下記より文屋のメルマガ登録をしていただくと、第1回目の映像が視聴できます。
http://eepurl.com/hWTOpf



文屋だより 登録はこちら
PAGE TOP