2025年2月27日
近年、アートの世界ではデジタル技術による大きな革新が起こっています。
デジタルアートというと、コンピュータ上で創作される作品をオンラインで鑑賞するイメージでしょう。しかしいま、歴史的傑作を高精細複製画として展示する次世代型の美術展や、デジタルコンテンツを投影した空間に深く入り込むイマーシブ(没入型)体験イベントなどが話題となっています。
海外でも人気の高い江戸期の浮世絵師・葛飾北斎の作品展示においても、デジタル技術が生かされています。現在は都内の数カ所で、北斎アートの美術展やイマーシブ体験イベントが開催中です。
2025年の大河ドラマ「べらぼう」でも江戸期の娯楽文化がテーマであり、葛飾北斎は主人公の蔦屋重三郎が見出した浮世絵師の一人としても知られる人物。文屋はいま、注目されている北斎アートをデジタル技術で表現することに加え、身体表現とのコラボレーションでより深く魅せる舞台を制作しています。
グランドコンセプトは、北斎光臨――2025年5月10日(土)に開催される舞台「火と水の結 光」の世界初演チケットが、いよいよ発売開始です。
レオナルド・ダヴィンチの『モナリザ』に次ぐ世界的な名画ともいわれる葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』。その波は5000分の1秒の超高速シャッタースピードと分析されていますが、実はこの絵は北斎にとって「波」の完成形ではありません。
歳を重ねるごとに絵師としての画技とその精神を極めていった北斎の「波」は、80歳を超えて訪れた小布施で完成されました。
地元の豪商である高井鴻山(こうざん)に招かれ、北斎が小布施で描いた怒濤図「男浪」「女浪」(上町祭屋台天井絵)は、風景画としての「波」を超える「宇宙」がイメージされ、その空間に吸い込まれるような「波」が表現されています。
北斎が小布施で描いた、まさに画業の集大成ともいえる絵は一点ものの肉筆画ばかりで、本来は小布施の中心地にある北斎館でしか見られない作品です。しかしこの浪図に加え、「龍」「鳳凰」(東町祭屋台天井絵)の4枚の絵の高精細複製画が2025年3月末まで、NTT東日本主催の「Digital×北斎」企画の一部として都内で展示されています。
Digital×北斎【急章】その2 真正の画工 創造と革新の道 | NTT東日本
デジタルアプリケーションを使うことで、北斎アートは本物以上に細部まで鑑賞できるようになりました。小布施から離れた地でも、完成された北斎の「波」を感じることができるのです。
最晩年に描く自由を与えられた北斎が小布施に残した作品には、芸術家としての北斎の魂が宿り、そこに新たな創造の力が生まれます。89歳の北斎がその命を終える前年、約1年をかけて描いた「八方にらみの鳳凰図」は、まさに躍動する北斎の魂が感じられる作品です。
現代舞踊家である那須シズノさんは2024年春、初めて訪れた小布施の岩松院本堂の天井に描かれこの絵から、光が降りてくるのを感じました。北斎の魂と共鳴した那須さんは涙が止めどなく流れ、2時間もその場を動けなかったといいます。
そして自身もまた舞踊家人生の集大成として、北斎に捧げる舞を創作することを決意しました。
今回の舞台で舞われる「火と水の結 光」――ここで那須さんは長きにわたって舞の重要なエレメントとしてきた火と水を結び、北斎の魂から舞い降りた光を表現します。
那須さんは小布施で北斎の魂と出会ってから幾度か、北斎に捧げる舞を奉納してきました。しかし本舞台がこれまでと大きく異なるのは、そこに映像としての北斎アートが登場し、まさに2つの魂が共演するということです。
現代舞踊という身体表現との融合によって北斎アート魅せる――デジタルアートの新たな可能性に挑むこの難しい課題に挑戦するのは、小布施出身の映像ディレクター、関和亮さんです。
日本のエンターテインメント業界で知らない人はいないと言われるほど、数々の有名アーティストのミュージックビデオ、CMやドラマを手掛けてきた関さんは、近年では映画監督としても活躍。今回のチャレンジに相応しい人物といえるでしょう。
2024年11月、那須シズノさんと関和亮さんは、初対面したその瞬間に意気投合しました。那須さんのイメージに共鳴した関さん、この二人の才あるアーティストのインスピレーションが重なり、デジタル技術と現代舞踊で魅せる北斎アートの制作は佳境に入りました。
「火と水の結 光」は、間もなくプロモーションビデオの公開が予定されています。デジタル×現代舞踊が生み出す北斎アートの新たな世界観、その魂の躍動をぜひあなたも体感してみませんか。
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