2025年1月16日
長野県小布施町では毎年1月14日、15日に「安市(やすいち)」を開催します。町の中心部にある皇大(こうたい)神社で五穀豊穣、商売繁盛を願う伝統行事であり、2025年も縁起物のだるまなどを求めて多くの人々が集まりました。
安市は江戸時代の面影をいまに伝える行事です。主要な街道が交差する位置にあった小布施には、多くの人や商品、諸国の情報が集結。こうして小布施は、北信濃地域の社会経済活動の中心地として発展しました。
歴史を重んじながら、その一方で現代を見据え、まだ見ぬ未来に向けて文化を変容させてきた小布施。この地に根ざす文化創造の魂は、変化の激しい時代に人がいかにして自分の人生を生きるのか、この問いへの大切な答えを提供します。
その象徴的存在が、江戸時代の天才絵師・葛飾北斎です。人生の最晩年に小布施を訪れ、本来の自分を解放させた北斎の魂は、小布施の地にいまも生きつづけています。
幼少期から好んで絵を描きはじめ、やがて稀代の絵師としての評価をほしいままにした葛飾北斎。平均寿命が50歳にも満たなかった時代に90歳まで生き、画業を追究し続けたその人生はまさに、自身の思うとおりのものだったように思えます。
しかしどのような時代においても、またどれほど天賦の才能に恵まれていても、思うとおりの人生を送るということは簡単なことではありません。
北斎もまた、波瀾万丈の人生を送ったことはよく知られています。身の回りのことに疎く片付けができず、人生で90回以上も転居を繰り返し、名が売れて稼ぎがあっても版元に借金を繰り返すほど、暮らしぶりは良いものではありませんでした。
また私生活でも早くに妻や娘を亡くし、孫の放蕩に悩まされ、中風(後遺症をともなう脳血管障害)を患ったり火事ですべてを失ったりと、数奇な運命をたどってきました。
それでも画業に対しては執着し、いついかなるときも情熱を燃やしつづけていたのです。
下総国本所割下水(現在の東京都墨田区)に生まれ、その人生のほとんどをこの地で過ごした北斎。しかしある人物との出会いにより、80歳を超える老体で、居住地から240キロも離れた北信濃の小布施村に四度も訪れています。
その人物とは、当時の小布施で大名に次ぐともいわれる豪商・高井家に生まれた高井鴻山(たかいこうざん)でした。裕福な家に生まれた鴻山は、15歳から16年間京都や江戸に遊学し、各界の第一人者に学問や芸術を学んだといいます。
広く教養を身につけ、31歳で小布施に戻った鴻山は、飢饉の際には蔵を開いて困窮者を救うほど徳の高い人物でした。父の後を継いで高井家の当主となると、それまでに築いた人脈によって多くの文人墨客を招き、自宅の書斎に文化サロンをつくります。
こうしたなかで、鴻山は絵師として名を馳せていた北斎と出会いました。当時の江戸は天保の改革によって、風紀取締令が発令され、出版や娯楽にまで規制が及んでいた時期。北斎は息苦しい江戸から逃れ、小布施で鴻山に居心地のよいアトリエを提供されることで、画業に没頭することができたのです。
衣食住はもちろん画材まで提供され、手厚くもてなされた北斎は、小布施で多くの傑作を仕上げました。描かれた東町祭屋台の天井画『龍図』、『鳳凰図』、上町祭屋台の天井画『怒濤図』(『男浪』、『男浪』)そして岩松院本堂の天井画『鳳凰図』は、いまも小布施に残っています。
画像出典:一般財団法人 北斎館
自分の思うままに生き、人生で大輪の花を咲かせる――誰もがうらやむ生き方ですが、これはただ一人で成立するものではありません。北斎もまた高井鴻山との出会いがあったからこそ、人生の終焉近くになって自分が望む絵を描くことができたのでしょう。
しかしこの出会いは、北斎が魂のままに自分の情熱を傾けて生きていたからこそ引き起こされたものだと、文屋の大切な著者の一人である波動リーディングオペレーター・井上悟さんは語ります。
どのような障壁があっても、自分の魂が望むことに真っ直ぐに向き合うこと。何ものにもとらわれず子どもの遊びのように好きなことに没頭し、その幸せを見出すこと。人がこのように生きるとき、発信される波動に共鳴して、この生き方を後押ししてくれる人物と出会うことができるということです。
「魂のシナリオのまま自由に楽しみながら好きを極めて遊ぶ幸福感」
高井鴻山の血を受け継ぎ、北斎の魂が生き続ける小布施が、これからの時代を生きる人々に向けて発信されるメッセージです。
北斎ゆかりの地である小布施に拠点を置く文屋は2025年、このメッセージに象徴されるネオ・ジャポニズムの構想を発展させ、これを世界へと発信する大きなイベントを開催します。
次回以降、この構想内容やイベントの進捗についてお伝えしてまいります。どうぞご期待ください。
リサイタルセミナー「火と水の結 光」は、まもなくチケット発売予定です。
滋賀県立芸術劇場びわ湖中ホール 2025年5月10日(土)開場13:30/開演14:00
絵画・葛飾北斎 /舞・那須シズノ/音・大倉正之助
あなたの魂を輝かせる井上悟さんの著書『楽しむために生まれてきた カギは「もともと完璧、いま最高!」』のお求めはこちらから。(※近日、Kindle版にて英語版も発売予定)
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