2024年9月26日

北斎とともに舞う那須シズノさんの「祈り舞」――2024年秋は多賀大社で「火と水の結」を奉納

人生を賭して熱中できるものを持っている人はいつでも、体の奥底に強いパワーを秘めています。「年齢を重ねると気力が衰える」と考える人も多いですが、人生の長い経験を経て、人はむしろより感性が研ぎ澄まされます。

稀代の天才絵師・葛飾北斎は「70歳までの絵は取るに足らない」とみずからの作品を評し、年を経てもなお画業を追究しました。北斎が80歳を超えて初めて訪れた長野県小布施町は、最晩年に描かれた北斎の最高傑作が多く残されるまちです。

2024年春、70歳を超えた一人の舞踊家の女性が小布施を訪れて北斎の傑作と出会い、その魂に触れ、心の深淵から湧き出る想いを「祈り舞」として表現することを決意しました。

現代舞踊家・那須シズノさんが北斎に捧げる舞の制作がいよいよ始まります。

すべての現実はこの作品に挑むためにあった――那須シズノさんの決意

葛飾北斎 天井画 八方睨み鳳凰図 あの感動の瞬間が 
私を突き動かしています。
自らの舞踊家人生を重ねてきた時をかいまみ 感じ続け 体感した現実の全ては 
この作品に挑む為にあった気が 今致します。
無限の光 無条件の愛 
今私は そこにむかっています。

(那須シズノさんからのメッセージより)

3歳の頃からクラシックバレエを始めた那須シズノさんは、のちにさまざまなジャンルのダンスを学び、19歳でプロのダンサーに。やがて25歳で独立し、指導者、そして舞台作品の創作も手がけるようになりました。

さまざまな経験を経てみずからの心と向き合い、ダンスから舞へ――さらには独特の旋回で表現する「祈り舞」にたどりついた那須さんにとって、舞とは人生そのものです。

「舞うことは生きること。生きることは舞うこと」。

那須さんが今年、小布施を訪れて北斎と運命の出会いを果たしたことは、これからの人生でいかに舞うかを決めるものでした。自分の心の奥深くにある内なるパワーを呼び起こされたのです。

北斎と同じく長い人生を積み重ねてきたからこそ表現できる舞をつくりたい。みなぎるパワーを感じた那須さんは、即座に2025年春に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでの舞のリサイタルを開催することを決意しました。

「火と水の結リサイタルセミナー」――北斎作品とともに舞う舞台構成案とは

2025年5月10日に予定している「火と水の結リサイタルセミナー」では、那須さんが能楽師 囃子方大倉流大鼓の大倉正之助さんの演奏とともに舞台に立ち、水の神、火の神、火と水の結、さらには愛、光、宇宙をモチーフとした「祈り舞」を披露します。

その背景に映し出されるのは、北斎が描いた小布施に残る上町祭屋台の天井画「怒涛図」の「男浪」「女浪」、東町祭屋台の「龍図」「鳳凰図」、そして岩松院天井画「八方にらみの鳳凰図」のビジュアルアートです。日本のエンターテインメント業界で活躍する小布施出身の映像ディレクター・関和亮さんが制作を担当します。

作品を作るとき、目の前にさまざまなものが映像として浮かんでくる――そう語る那須さんの豊かな想像力によってこれまで創り上げられ、評価されてきた作品は数知れず。このすべての積み重ねを経ていま、那須さんは新たな作品制作にかかる自身の真の声に耳を傾けています。

これから那須さんはさまざまな対話を繰り広げ、自身の深淵と向き合い、素晴らしい舞を創り上げてくれるでしょう。

2024年10月11日、多賀大社にて序章「火と水の結」奉納舞を披露

いま制作が進められている「火と水の結リサイタルセミナー」の序章となる「火と水の結」奉納舞が2024年10月11日、多賀大社にて披露されます。

「お伊勢参らばお多賀へ参れ、お伊勢お多賀の子でござる」

多賀大社は、伊勢神宮の祭神である天照大神の親にあたる伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)が祀られる由緒ある大社です。大倉さんの大鼓とともに、那須さんはここでどのような旋回舞を披露するのでしょうか。

歴史があり、また自然豊かな多賀大社での奉納舞は、那須さんにさらなる気づきや発見をもたらすことでしょう。この経験による深い気づきがまた、翌年の舞台をさらに洗練されたものにするに違いありません。

旧暦9月9日・重陽の節句、秋の深まりを感じながら、静かに自分の心と向き合うことができる奉納舞を多賀大社で体感してみませんか。

詳細は下記からご覧ください。参加申し込みもしていただけます。
https://e-denen.net/hitomizunoyui/

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