2024年6月20日
人生100年時代といわれる昨今ですが、年齢を重ねても変わらず人生を輝かせることは簡単ではありません。しかし志さえあれば、人は天に召されるまで進化し続けることができます。
世界で最も有名な日本人といわれる葛飾北斎は、90歳で亡くなるその日まで画の道を究めた人物です。80歳を超えて初めて訪れた信州小布施には何度も長期滞在し、数々の傑作を残しました。
小布施を拠点とする文屋では、この地で北斎が描いた作品、また滞在時に見た風景をみなさまにご紹介し、北斎の「生き方」を追体験していただく「北斎が見た小布施」プロジェクト展開中です。
この2024年春、北斎が貫いた「生涯現役」の強い志に導かれた現代舞踊家・那須シズノさんとご縁ができた文屋は、いま北斎の魂を受け継ぐ重要な企画を進行中です。
今回は2024年秋、そして2025年春に予定している新企画についてご紹介します。
3歳から踊りはじめ、人生で起こるさまざまな出来事と対峙するなかで、舞踊家としての使命を深く悟った那須シズノさん。神への祈りとして奉納の舞を捧げるようになってから、30年もの月日が流れています。
自身の意思を超える数々の導きやメッセージによって、これまで魂の舞を表現してきた那須さんは、2024年早春に訪れた小布施で葛飾北斎の作品に向き合いました。
「いまも小布施に躍動している北斎さんの燃えたぎる魂とわたしの魂が出会いました。北斎さんの魂を受け継いで、火と水と龍の舞を90歳まで20年をかけて創っていきます。」(那須シズノさん)
70歳を迎えている那須さんは、歳を重ねるごとに自身の深淵にあるものへと近づく感覚を得ています。
那須さんがいまこの時に小布施を訪れ、深い感性によって北斎の作品と触れたこと。そして北斎と同じく人生を重ねたからこそ叶う、洗練されたアートの表現に挑戦しようとしていること。
そのすべてが文屋のビジョンと一致するものです。那須さんと出会い、その想いを知った文屋が那須さんの挑戦を支援することは、必然といえるでしょう。
時は旧暦9月9日、重陽の節句、大安、上弦の月――。
2024年10月11日(金・旧暦9月9日・大安)に予定されている「重陽の節句 火と水 陰陽和合の式典」は、滋賀県の多賀大社にて行われます。那須シズノさんはみずからの祈りを象徴する火の舞と水の舞を奉納します。
多賀大社は、伊勢神宮の祭神、天照大神の親にあたる日本の国生みの二神 伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)を祀る滋賀県第一の大社です。まさに「生命(いのち)の親神様」への舞の奉納といえるでしょう。
共に舞台に立ち大鼓(おおつづみ)演奏するのは、那須さんと古くから親交のある能楽師 囃子方大倉流大鼓の大倉正之助さんです。重要無形文化財総合指定保持者でもある大倉さんは、多賀大社の名誉宮司である中野幸彦さんと長くご縁があり、今回の演奏と舞の実現に繋がりました。
五節句の一つ「重陽の節句」は、長寿や無病息災を祈願する節句です。志高いお二人がこれまで積み重ねてきた技術を披露する場に向けて、いまさまざまな企画が進行しています。
特別御招待席も設けていますので、ご希望がある方はぜひ文屋までお問い合わせください。
多賀大社での序章を経た2025年5月10日、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでは、「火と水の結リサイタルセミナー」の開催を予定しています。
国内屈指の音響設備を有し、「西日本舞台芸術の殿堂」とも呼ばれるびわ湖ホールでのリサイタルの軸にあるのは「葛飾北斎との共演」です。
北斎が小布施で描き、いまも小布施に残る傑作、岩松院天井画「八方にらみの鳳凰図」、そして北斎館で展示される東町祭屋台の「龍図」「鳳凰図」、上町祭屋台の天井画「怒涛図」の「男浪・女浪」などを、大倉正之助さんの大鼓と那須シズノさんの舞で表現します。
北斎の傑作、大倉さんの大鼓、そして那須さんの舞――この《ビジュアル×サウンド×ムーブメント》を宇宙からの波動によって解釈するもう一人の演者は、文屋より著書『楽しむために生まれてきた カギは「もともと完璧、いま最高!」』を出版中の井上悟さんです。
井上さんは、文屋代表・木下豊と那須さんのご縁を結んだ方でもあります。今回のリサイタルでは井上さんのご講演のほか、大倉さん、那須さん、井上さんによるトークライブも予定されています。
こちらもまだまだ企画は始まったばかりであり、詳細は今後もご報告させていただきます。
日本が誇る芸能の世界で「生涯現役」を貫く世紀の共演に、どうぞご期待ください。
葛飾北斎ゆかりの地として独自の発展を見せた小布施のまちづくり。その軌跡がわかる書籍『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』(磯野謙・著)は文屋より好評発売中です。
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