いよいよ発売！『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』出版記念パーティーを開催

文屋は2023年12月19日に、『小布施まちづくりのセンス――二人の市村』（磯野謙・著）を出版しました。

発売に先立ち、去る12月7日に本書の舞台である長野県小布施町にて、出版記念パーティーが開催されました。会場には、著者である自然電力株式会社社長の磯野謙さんはもちろん、「二人の市村」のうちの一人、小布施の老舗栗菓子店「小布施堂」社長の市村次夫さん、そして制作に携わったメンバーたちも顔をそろえています。

ここに訪れたゲストは80人超。現小布施町長である桜井昌季さんを含めた小布施町の方々、近隣の市町村や県外の方々もいらっしゃり、盛況なパーティーとなりました。

先行発売された小布施町では本書をすでに読まれた方も多く、当日は制作秘話に興味津々のご様子。本格的な冬の寒さを迎える信州小布施ですが、熱気にあふれた会場での3時間はあっという間に過ぎていきました。

まちづくりの軌跡を描いた本書の制作は、市村良三さんがつないだご縁

パーティー会場となった小布施堂本店は、本書に何度も登場するまちづくりの拠点ともいえる場所。独自のアイデアで小布施をいまある姿にした市村良三さんと市村次夫さん、いとこ同士の「二人の市村」は、1980年代に小布施堂を継承しています。

この小布施堂を盛り上げていくなかで、二人は町並み修景によって地元小布施の歴史を大切にした文化を発展させ、結果的に全国から注目される個性豊かなまちづくりを実現しました。この長い月日をともにした「戦友」ともいえる二人の軌跡を描いたのが本書です。

しかしその出版を待たず、良三さんは2023年6月14日に逝去されました。次夫さんはこう語ります。

二人の対談を本にしたい、と言ってくださった磯野謙さんには本当に感謝しています。亡くなる少し前、5回目の対談が最後だったので、彼は今日の出版を残念ながら見ることができませんでした。でも取材ではすべて話すことができました。磯野さん、そして制作に協力していただいた大宮まり子さん、塩澤耕平さん、みんな良ちゃんが全国に向けていろいろなことを仕掛け、ご縁ができた方たちです。（市村次夫さんご挨拶より）

古いものを大切にしながら新しさを取り入れ、対話を大切にしながら世代を超えた交流を生み、新しい価値を築いてきた小布施のまちづくり。本書の制作は、その研ぎ澄まされたセンスを全国に発信したいという磯野謙さんの提案で始まりました。

これもすべて、良三さんがつないだご縁によるものだったのです。

高いレベルの食文化を象徴する小布施堂のおもてなし

小布施堂に併設する心地良い和モダンのレストランで提供されたパーティー料理は、目も舌も喜ぶ工夫がほどこされており、運ばれるたびにゲストのみなさんは歓喜に満ちあふれていました。

栗寿司や変わり揚げには、当日剥いた栗が丸ごと入っています。彩り豊かに盛りつけられた一品一品は、誰の目からも品質の高さがわかるものばかり。思わず写真を撮る方々もたくさんいました。

地域の店としての特徴を出すため、プロの料理人を外部から雇うのではなく従業員を料理人に学ばせることで築き上げた、小布施堂の食文化。小布施のまちづくりの一つの形をなすものです。

思わず笑顔になってしまうお料理をいただきながら会話も弾み、会場ではあちらこちらで新たなご縁がつながっていきます。ご縁が新たな価値をつくり、そしてまた新たなご縁をつなぐ――。小布施のまちづくりのあり方がまさにそこにあったこの夜の集いを、良三さんもきっとどこかで見守ってくれていたことでしょう。

良三さんのおもいを受け継ぎ、まちづくりを伝承していく

パーティーでは良三さんに代わり、奥様の多喜子さんがご挨拶をされました。

本人はこの本の内容を把握しておりました。本当に懐かしい子どものころの写真、高校の時の演劇部の写真、まちづくりの進行中の写真まで載せてくださって、きっと喜んでいると思います。（市村多喜子さんご挨拶より）

一冊で小布施の歴史、そのまちづくりの魅力がすべてわかると言っても過言ではないほど、本書には盛りだくさんのカラー写真が掲載されています。すべて、良三さんと次夫さんを中心に、まちづくりに関わる人々がつくり上げてきた財産です。