2022年8月25日
今夏の全国高校野球大会では、宮城県代表の仙台育英高校が優勝しました。
優勝旗が初めて「白河の関」を越えた、東北勢初の快挙。さまざまな場で盛り上がるなか、新幹線のホームで駅員さんが仙台育英応援団に向けて、こんな異例のアナウンスをしたというニュースが目に留まりました。
「仙台育英の応援のみなさま、優勝おめでとうございました。お気をつけてお帰りください」
選手たちの活躍の影には、応援する仲間たちの存在があります。応援団をねぎらう温かいアナウンスに、多くの人が心を動かされたことでしょう。
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今回も、【高野登さんと学ぶ「わたしの人生を変えたホスピタリティライフのすすめ」】をご紹介していきます。
人間は、理屈ではなく欲や感情で動くものです。そこを上手に刺激するためには何が必要か。どれだけ良い製品やサービスを提供しても、深いところでそれを使いたいという欲、感情がわいてこなければ意味がありません。これを理解してはじめて、ホスピタリティの組み立てが見えてきます。欲望を掻き立て、感情に訴えかけること。大切なのは、頭ではなく心です。(高野登さん、セミナー第6講より)
「ホスピタリティ」とは、いつでも誰にでも提供できる「サービス」とは本質的に異なるものです。このホスピタリティをブランドの中心に据え、圧倒的な独自性を築き上げたザ・リッツ・カールトン・ホテル。かつてその日本支社長を務めたのが、このセミナーの講師である高野登さんです。
いまコロナ禍により、変化のスピードが加速化してしまったお客さまに対し、どのようなホスピタリティを提供できるのか。高野さんは前回に引き続き、この視点から経営や人生の質を上げるヒントを伝えてくれます。
今回は高野登さんから、「マネジメントの父」とも言われる経営学者、ピーター・ドラッカー博士との逸話が飛び出しました。リッツ・カールトン時代、ドラッカー博士から研修を受けたという高野さんが感じた彼の言葉は、とてもシンプルなものでした。
そのうちのひとつは、かの有名な「われわれの顧客とは誰か」という問い。
ドラッカー博士からの問いは、どんどん深まります。「なぜその人はあなたの顧客なのか」「あなたのどういう価値を認めているのか」「その人はどれくらいの頻度で訪れるのか」「あなたにどんな言葉を伝えてくれるのか」・・・。
問いに答えることを何十回と続けるうち、自分たちが本当に大切にすべきこと、その価値を提供できる顧客とは誰かということが、自然と明らかになっていきます。
それは同時に、こうした価値を自分たちがどれだけ作りだせているのかの自覚にも繋がります。万一それがなかったなら、まだ出発点にも立てていないということです。
この研修を経て、リッツ・カールトンのなかにひとつの目標が生まれました。「“リッツ・カールトンのない世界は考えられない”というお客さまを増やすこと」。まさに、究極のマーケティング戦略です。
このセミナーで高野登さんが何度も警笛をならすのは、一般的に考えられているマーケティング戦略の問題点です。それは、市場調査によって陥ってしまう「マス思考」の危険さ。「みんながこう思っている」は、すべて空想にすぎません。
お客さまを層で見るのではなく、相でも見るということ。心のカタチを見ることこそ、真のマーケティング戦略です。その中心にあるのは、ブランドの確立。前回のブログで詳しく取り上げた、「自分たちが提供している価値を表す名前」が、お客さまの心の中にきちんと根づいているかということです。
ブランドとは、独自性。「リッツ・カールトンといえば、ホスピタリティ」といったフレーズが浸透しているなら、それでブランディングは成功です。
さらに高野さんが立てる大切な問いは、いかにこのブランドを繋いでいくかということ。どんなブランドであっても、成熟期を越えれば衰えていきます。特にいま、コロナ禍という特殊な状況では、予測できない変化が起こっても不思議ではありません。
すべての人に受け入れてもらうことではなく、いま自分たちにしか提供できない価値を問い続けることが、変化の時代に生き残るブランドの確立を促します。
アフターコロナに向けて、その価値とは何かをとことん考えてみませんか。
【末広がりの年輪経営プロジェクト】
ビジネス・オンラインスクール 高野登さんと学ぶ「わたしの人生を変えたホスピタリティライフのすすめ」
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