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2022年5月26日

制度ありきではなく、哲学から始まる会社経営――オンライン通信講座「塚越寛さんに学ぶ年輪経営の極意」⑱

株主総会シーズンです。

いま会社が何を目標に取り組み、どこに到達しているのか。そのことをしっかりと伝えるために、経営者、幹部のみなさまは思考を巡らせていることでしょう。

近年、会社の取り組みの指標として「従業員エンゲージメント」をよく耳にします。社員がどれほど会社のビジョンに共感し、その実現に向けて積極的に仕事に従事しているかを測る指標です。

従来からある社員満足度は、会社の制度や福利厚生などにたいする表面的で受動的な評価となりがちでした。一方で従業員エンゲージメントは、会社と社員のより深い関係性に踏み込み、そこでの社員の貢献意欲や帰属意識などに焦点を当てています。

では、従業員エンゲージメントの高い会社は、どのような制度を採用しているのでしょうか。

文屋で配信中のオンラインセミナー「塚越寛さんに学ぶ年輪経営の極意」を通して、ご一緒に考えてみましょう。

「かんてんぱぱ」で知られる長野県の伊那食品工業は、社員数約500人の中小企業ですが、毎年25人程度の採用枠に数千人の応募者が集まります。

「社員の幸せ」を経営の一番の目的とし、その実績から世界のトヨタまでもが「お手本にしている」と公言している伊那食品工業。横文字を好まない同社では、「従業員エンゲージメント」という言葉は使われていませんが、おそらくその数値はかなり高いものでしょう。

現在の最高顧問である塚越寛さんは60年以上前、社員数人の零細企業だった伊那食品工業を任され、会社を成長させてきました。塚越さんは会社の人事制度について、こう語っています。

人間が人間を評価するということは、非常に難しい。ですから当社は、誰が見ても優秀だという人は抜擢し、そうでなければ年功序列にしています。見る人によって評価が異なるときは、年功序列にしようと決めています。(塚越寛さん)

年功序列といえば、旧来の日本的経営を特徴づける制度です。会社の安定的成長を前提とするこの制度の維持は、いまとなっては難しいものとなりました。

そんななかで年功序列を貫き、そして終身雇用をも守り続ける伊那食品工業にとって、人事制度とはいったい何なのでしょう。

このセミナーでは、「人とホスピタリティ研究所」の高野登さん文屋の木下豊とともに、塚越寛さんの年輪経営を読み解きます。

塚越寛さんにとって、年功序列も終身雇用も制度ではなく、経営哲学です。例えば他の企業で「うちは終身雇用にしている」と言っても、コロナで事情が変われば制度も変えるでしょう。ところが経営者が「こうあらねばならない」と信念を持つ哲学は、簡単に覆せません。それを受けているからこそ、社員もその哲学に生き、そこで自分が何ができるかを考えるのです。(高野登さん)

塚越寛さんが考える会社のあるべき姿は、家族です。そう考えれば、年功序列や終身雇用というのはごく自然に受け止められるもの、と木下は話します。

たとえば兄弟で経営をしていれば、当然たくさん稼いで給料を多くしようと考えます。ところが他人を雇った瞬間に、給料はコストとなってどうやって抑えるかという発想になる。塚越さんが考える「会社は家族」は、経営の出発点なんです。彼も彼女も家族なんだから、みんなで給料を上げられるようにしよう、と。(木下豊)

会社の制度は、どこも同じである必要はありません。

ザ・リッツ・カールトンホテルの元日本支社長である高野登さんは、そこでの人事制度は伊那食品工業とは異なるものと話します。リッツカールトンは、年功序列や終身雇用を実践しているわけではなく、むしろ能力主義を反映しています。

でもこの能力主義は、「能力を最大限に生かし、一人ひとりが自分らしい働き方をすることで強い組織を作る」という経営哲学にしっかりと根づくものです。またリッツカールトンにも、会社を家族と考える文化があります。

制度はちがえど、そこには哲学があり、また社員たちが安心で安全に過ごせるからこそ、力を発揮することができる。この考え方において、ふたつの会社の根はつながっている、と高野さんは考えています。

制度ありきではなく、哲学で始まる経営。そこに経営者の生き方が反映され、どんなときもぶれずに貫かれていれば、社員の信頼と貢献はゆるぎないものになるはずです。


あなたの会社の制度は、どんな哲学に基づいていますか。このセミナーのなかに、その思考を進めるヒントがきっとあると思います。

【末広がりの年輪経営プロジェクト】
ビジネス・オンラインスクール「塚越寛さんに学ぶ年輪経営の極意」

https://www.e-denen.net/cms_bunyaza_school_01.php

7月下旬、「かんてんぱぱ」伊那食品工業の現地で学ぶ「年輪経営伊那セミナー」では、高野登さんがファシリテーターを務めます。心地よい夏の「かんてんぱぱガーデン」で、ともに学びましょう。(残席わずか!)
https://www.e-denen.net/cms_bunyaza_28.php

 

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