文屋

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2021年7月8日

「令和の名づけ親」中西進先生からのメッセージ①――絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』

いよいよ明日7月9日、文屋は絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』を発売いたします。

博多の歴女、白駒妃登美(しらこまひとみ)さんが、国歌『君が代(きみがよ)』のこころを描いた絵本です。

白駒妃登美さんは講演や著書をとおし、日本の歴史上の人物たちの生き方から、いまを生きる私たちにたくさんの学びのヒントを伝えてきました。

 

『君が代』の本歌は、平安時代に編纂された『古今和歌集』にある和歌。詠(よ)み人知らずのこの和歌は、名もなき人物が愛する人に詠(よ)んだラブレターでした。

白駒妃登美さんが絵本で教えてくれるのは、この愛の歌がこの世のすべてをつつみこむ深いこころをもっているということです。

そのこころに賛同し、「令和の名づけ親」といわれる国文学者、中西進先生がこの絵本を推薦してくださいました。

中西進先生は、「令和」の出典元といわれる『万葉集』研究の第一人者。日本の教育者、文学者として「現代国文学界の象徴的存在」とまで言われる方です。

 

6月半ばの佳(よ)き日、文屋代表の木下豊は、中西進先生が館長を務められている富山県立高志(こし)の国文学館を訪れました。先生に、ご推薦への感謝の気持ちをお伝えするためです。

この日に直接いただいたお言葉、その貴重なお話を、2回にわたってこのブログでお伝えします。

木下は2011年から2年間、東京の「中西人間塾」の塾生として、中西進先生の教えを受けていました。

そして修了記念の旅行では、長野県小布施町に先生ご一行をお迎えし、文屋(木下の自宅)で中西先生と語り合いました。

それ以来9年ぶりの再会です。

高志(こし)の国文学館の館長室にて、中西進先生は1時間かけ、絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』への想いを語ってくださいました。

――――――――

『君が代』の本歌はラブレターでした。
愛の歌です。しかも、詠み人知らず。
国歌なのに作詞者が不明なのです。
それがこの国のありように通じるように思います。

世界には、革命の成功や自国の強大さなどを歌う国歌が多いなか、

ラブレター、愛の歌であることはとてもユニークな存在です。
自国礼賛型のレベルではありません。
人類愛のレベルの歌といってもいいでしょう。

本歌は、平安時代に編纂された

古今和歌集に収められている「わがきみは」で始まる和歌。
しかし、この和歌の精神、命を寿(ことほ)ぐ気持ちを詠む歌はすでに、
『万葉集』にも見てとることができます。
巻13の3245~3247の3首です。

『君が代』の起源は、万葉の時代にまでさかのぼります。

他者を愛し、自然を畏(おそ)れつつ敬い、
大らかに和やかに暮らすことを重んじてきた
日本人の根源的な想いと願いが、この歌には込められています。

こうして千年以上にわたって

日本人の先人たちに愛されてきたのが、この歌です。

開国して間もない140年ほど前、外交の国際儀礼上、

「国歌」を演奏することが必要となりました。
その時点で、多くの国民に永い間愛されてきた、
日本を代表する歌として、
『君が代』の和歌に白羽の矢が立てられました。

富国強兵政策のもとこの歌は、

国家主義、軍国主義、戦争と結びつけられるようになり、
1945年の終戦を迎えました。

国家がこの歌を利用してきたのです。

その結果として、政治的な立場が

いわゆる右系の人たちには礼賛され、
左系の人たちには嫌悪されたり否定されたりする状況が、
80年近くもつづいています。

歌には何の罪もありません。

しかもこうした歴史は、

この歌の千年以上の旅のなかの、ほんの100年ほどの、
人間たちのしわざ、その結果にすぎないのです。

この絵本は『君が代』を「もとにもどす」
大切な役割があります。

だからわたしはこの絵本の出版に大賛成です。

この役割を正面切って引き受けた一般向けの書物は、無かった。

じつに大事な役割の本になります。

―――――――――

奈良時代の『万葉集』、そして平安時代の『古今和歌集』から受け継がれる命を寿ぐ歌。その歌の意味が、日本という国家の歴史のなかでゆがめられてしまったこと。それを「もとにもどす」この絵本の役割。

版元として、文屋はこの言葉を深く、重く、受け止めています。

中西進先生のメッセージは、次回に続きます。


絵本『ちよにやちよに~愛のうた きみがよの旅』の寄付本プロジェクトは、おかげさまで、開始から50日ほどで第1次目標金額250万円を達成することができました。

この成果として、1,250冊を、児童養護施設や子ども病院などで頑張っている子どもたちにプレゼントすることができます。
第2次目標には、各国の大使館や世界中の日本人学校への寄贈を予定しています。

引き続き、みなさまからのご支援をお待ちしております。

https://www.e-denen.net/cms_kifubon.php

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